阿久根鋼吉

阿久根 鋼吉（あくね こうきち）

1974年6月22日、東京都足立区に生まれた阿久根鋼吉は、右投げ左打ちの内野手として日本の野球界でそのキャリアを築きました。社会人野球を経てプロの世界へ飛び込み、引退後は少年野球の指導者としてグラウンドに立ち続けています。

アマチュア時代

花咲徳栄高等学校を卒業後、創価大学に進学。東京新大学野球リーグにおいて、1994年春季リーグ戦からの8連覇という輝かしい歴史の中で、そのうち6度のリーグ優勝に貢献しました。特に2年生の秋季リーグからは3季連続でベストナインに選出されるなど、大学野球界屈指の内野手として名を馳せました。

大学卒業後は社会人野球の名門、NTT関東に入社。ここでもその才能を存分に発揮します。1998年の社会人野球日本選手権では、チームの優勝に大きく貢献。特に大会中には3試合連続で本塁打を放つという離れ業をやってのけ、その活躍が評価され最優秀選手（MVP）に選ばれました。さらに同年には、野球日本代表としてバンコクで開催されたアジア大会に出場。決勝戦となった韓国代表との試合では、当時メジャーリーグでも活躍していた朴賛浩投手から本塁打を放つなど、国際舞台でも鮮烈な印象を残しました。この社会人時代での実績は、プロ野球への扉を開く大きな要因となりました。

プロ野球時代

1998年秋に行われたプロ野球ドラフト会議において、日本ハムファイターズから5位指名を受けて入団。NTTグループの再編に伴い、チームが統合されることが決まっていたNTT関東からは、阿久根氏の他に立石尚行投手、伊藤剛投手も同時に日本ハムに入団しました。

阿久根氏は、球団のレジェンド的存在であった広瀬哲朗氏が長年背負い、引退によって空き番号となっていた背番号「1」を与えられました。これは、即戦力内野手としてチームの中心選手となることへの球団からの大きな期待の表れでした。しかし、プロのレベルへの適応には時間を要し、期待されたほどの活躍や一軍への定着はなかなか果たせずにいました。

転機が訪れたのは、トレイ・ヒルマン氏が監督に就任した2003年シーズンです。この年、阿久根氏は開幕から二塁手としてスタメンに定着。軽快な守備と勝負強い打撃でチームに貢献し、自身のプロキャリアで最多となる82試合に出場しました。この年は、それまでの苦労が報われた、プロ入り後のハイライトと言えるシーズンでした。

翌2004年、チームに新庄剛志氏が入団したことに伴い、背番号を「9」に変更。この年は怪我の影響もあり、出場機会は前年から大きく減少し、わずか23試合の出場にとどまりました。そして2005年シーズンは一度も一軍での出場機会を得られず、同年10月4日に球団から戦力外通告を受け、現役を引退することを決意しました。

引退後

プロ野球選手としてのキャリアに区切りをつけた阿久根氏は、少年野球の指導者という新たな道に進みました。現在は、埼玉県三郷市を拠点とする少年硬式野球チーム、三郷リトルシニアの監督を務め、自身の経験を次世代の野球を担う子供たちに伝えるべく、熱意を持って指導にあたっています。

プロでの記録

初出場・初打席：1999年4月7日、対西武ライオンズ2回戦（東京ドーム）、7回裏に代打で出場し、松坂大輔投手から三振。
初先発出場：1999年5月3日、対千葉ロッテマリーンズ3回戦（東京ドーム）、8番・二塁手として先発出場。
初安打・初打点：2000年4月14日、対千葉ロッテマリーンズ1回戦（千葉マリンスタジアム）、9回表に戸部浩投手から中前適時打。
初本塁打：2002年9月23日、対千葉ロッテマリーンズ23回戦（東京ドーム）、4回裏に渡辺俊介投手から右越ソロ。
初盗塁：2003年4月20日、対西武ライオンズ6回戦（東京ドーム）、8回裏に二盗（投手：石井貴、捕手：伊東勤）。

背番号

1 （1999年 - 2003年）
* 9 （2004年 - 2005年）

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