阿寒観光ハイヤー

有限会社阿寒観光ハイヤーは、北海道釧路市阿寒町に本社を置く交通事業者です。主な事業として、タクシーサービスと、地方自治体からの委託を受けた乗合タクシー事業を展開しています。本社は釧路市阿寒町新町2丁目4-7に位置しています。

タクシー事業

同社のタクシー事業は、全国的に見ても珍しい観光タクシーに特化している点が大きな特徴です。特に自転車愛好家へのサポートに力を入れており、サイクリングガイドツアーや、サイクリストのためのサポートタクシーサービスを主に行っています。もちろん、一般の観光客向けのタクシー運行も手掛けています。現在、9台の車両を保有し、地域の観光振興に貢献しています。

乗合タクシー事業

阿寒地域において、釧路市や阿寒バスからの委託を受けて、かつての路線バスを代替する形で乗合タクシーを運行しています。これは、地域住民の生活交通を維持するための重要な役割を担っています。

運行している主な路線は以下の通りです。

布伏内線
この路線は、阿寒診療所から阿寒町を経由し、上舌辛、知茶布を経て布伏内を結びます。もともとは、阿寒バスが運行していた路線のうち、布伏内方面の区間にあたります。この区間は、さらに遡ると雄鉄バスが運行していた歴史を持ちます。

2009年9月1日から同年12月31日までの期間、阿寒町から布伏内方面の区間をバス運行から休止し、代わりに接続する乗合タクシーを運行する実証実験が行われました。この実験の結果が良好であったため、当初の計画よりも早く、2010年11月30日をもってバス運行が正式に廃止され、乗合タクシーへと完全に移行しました。また、この移行に伴い、阿寒町と接続するバスの停留所が、それまでの場所から阿寒病院（現在の阿寒診療所）に変更され、乗合タクシーの運行区間も阿寒町から阿寒病院まで延伸されました。

仁々志別線
この路線は、阿寒町にある行政センターを起点とし、阿寒高校前、山花温泉を経由して仁々志別小学校、そして48線へと至る区間を結んでいます。この路線は、かつて釧路市（旧阿寒町）の補助を受けて阿寒バスが運行していたものを、2011年7月に阿寒観光ハイヤーに移管されました。仁々志別共和地区と本町地区を結ぶ唯一の公共交通機関として、仁々志別小学校の児童の通学や、仁々志別地区に住む人々の日常的な移動手段として欠かせない生活路線でした。

しかし、2016年3月に仁々志別小学校が廃校となり、地区の児童が他のスクールバスで阿寒小学校へ通うようになったことで、この路線の利用者は著しく減少が続きました。さらに、使用していたバス車両も経年による劣化が進み、バスとして運行を続けることが困難になった状況でした。

こうした背景から、2019年10月1日より、運行形態が変更され、予約制の乗り合いタクシーである「仁々志別線 あいのりタクシー」として再出発しました。あいのりタクシーへの移行により、共和地区、仁々志別地区、上仁々志別地区、中仁々志別地区、下仁々志別地区の住民は、自宅前など指定の場所で乗降することが可能となり、利用者の利便性向上も図られています。

有限会社阿寒観光ハイヤーは、このように観光需要に応えるタクシー事業と、地域の生活を支える乗合タクシー事業の両輪で、阿寒地域の交通インフラを支えています。

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