阿寒駅

阿寒駅の概要と歴史

阿寒駅（あかんえき）は、かつて北海道釧路市阿寒町舌辛に存在した雄別鉄道雄別本線の駅です。雄別鉄道は、かつて地域の重要な交通手段であり、特に炭鉱や木材産業と密接な関係がありました。本駅は沿線で最も市街地に近い位置にあり、当初から利用されていました。広大な土場を有する阿寒原生林から切り出された原木の集積地としても機能しており、地域の経済に貢献していました。

歴史

阿寒駅は、1923年1月17日に「舌辛駅」という名称で開業しました。これは北海炭礦鉄道の釧路駅と雄別炭山駅を結ぶ路線の一環として設置されたもので、当初は一般駅として運営されていました。その後、1950年5月1日に「阿寒駅」に改称され、地域の交通の要所としての役割を果たしていました。しかし、1970年4月16日に全ての雄別鉄道の路線が廃止されるに至り、阿寒駅も同時に廃駅となりました。

駅の跡地には1972年3月1日、雄別炭礦に関する資料を展示する阿寒町郷土資料館が開館しました。この資料館は後に「道の駅阿寒丹頂の里」に移設され、1988年6月25日には「炭鉱と鉄道館・雄鶴駅」として新たにオープンしました。

駅の構造

阿寒駅の駅舎は西南側に位置しており、木造の島式ホームが1面2線設置されていました。また、貨物積卸線1本と駅裏側には木材積込線が1本存在しました。ホームへは構内踏切を通じてアクセスできました。この構造は、駅の貨物輸送の重要性を示しています。

現状

廃駅となった後、以前の駅前通が駅の跡地を横断しており、現在では北側に阿寒町郷土資料館、その先に中央公園、南側には阿寒町商工会館および木材工場が立地しています。商工会館の敷地内には「雄別鉄道記念碑」が建立されており、地域の鉄道の歴史を振り返る重要なスポットとなっています。また、釧路側の本線跡は整備されてサイクリングロードとして利用されており、雄別炭山側の本線跡は市道として整備されているため、地域住民の生活路としての形を保っています。旧駅前には阿寒バスの「阿寒町」停留所が設置されており、交通の利便性が残されています。

その他の情報

「雄別炭礦鉄道 50年の軌跡」によると、阿寒川橋梁手前に「南舌辛仮貨物停車場」が設置されていたことが記録されています。これは1928年9月から1931年9月25日の間に存在したもので、当時の北海炭礦鉄道における重要なポイントでした。

阿寒駅は、その歴史的背景とともに、地域の発展とともに歩んできた重要な場所であり、今でもその名残が地域の文化や歴史の中に息づいています。

もう一度検索