阿木津英

阿木津 英について

阿木津英（あきつ えい、1950年1月25日生まれ）は、日本の著名な歌人であり、短歌結社「八雁」の主宰者である。彼女の本名は末永英美子（すえなが えみこ）で、現代短歌の分野においてフェミニズム思想を取り入れた先駆者として知られ、女歌運動に大きな影響を与えた。

経歴

阿木津英は福岡県行橋市で生まれ、福岡県立京都高等学校を卒業後、九州大学文学部の哲学科に進学し、心理学を専攻した。彼女は出版社や児童相談所の心理判定員、さらには塾の教師としての職を経ながら、作歌活動を続けていった。

格式を重んじた短歌の世界に身を置く中で、阿木津は石田比呂志に師事し、1974年には彼が主宰する短歌結社「牙」に参加する。石田との結婚に伴い、彼女は筆名を阿木津へと改名するが、その後協議離婚。その後、1979年には短歌研究新人賞を受賞し、1980年には第一歌集『紫木蓮まで・風舌』を発表し、ここで現代歌人集会賞を受賞した。続く1984年には第二歌集『天の鴉片』が評判を呼び、現代歌人協会賞や熊日文学賞を受賞した。

1985年に離婚後、阿木津は東京に移住し、1987年には第三歌集『白微光』を出版する。そして1991年には歌誌「あまだむ」を創刊し、自ら主宰することとなる。1994年には第四歌集『宇宙舞踏』を発表し、2003年には「巌のちから」によって短歌研究賞を受賞。石田の死去に伴う「牙」の解散後、阿木津は2012年に島田幸典とともに「八雁」を創刊した。

活動

阿木津は、短歌における女性の視点を重視し、現代短歌におけるフェミニズムの問題を探求し続けている。1983年には河野裕子や道浦母都子と共に「おんな・短歌・おんな」というシンポジウムを名古屋で企画し、その後も近年の様々なシンポジウムに関与してきた。特に、2001年に開催した「あまだむ」10周年記念シンポジウム「ナショナリズム・短歌・女性性」などは高く評価されている。

彼女の著書には、歌集や評論が多数あり、特に『イシュタルの林檎：歌から突き動かすフェミニズム』などは、フェミニズムの視点から短歌を考察した意欲的な作品だ。近年においても、2022年に『アララギの釋迢空』で日本歌人クラブの評論賞を受賞し、現役の歌人としてその存在感を示している。

著書

阿木津の著書は多岐にわたり、以下のような重要な作品がある：

• - 『紫木蓮まで・風舌』 (1980)
• - 『天の鴉片』 (1983)
• - 『白微光』 (1987)
• - 『宇宙舞踏』 (1994)
• - 『巌のちから』 (2007)
• - 『アララギの釋迢空』 (2021)

彼女の作品は、短歌界において強い影響力を持ち続け、特に女性の視点から見た現代の問題を深化させる役割を果たしている。新たな視点をもたらすその活動や作品の数々は、多くの人々に感動を与え、短歌の未来を切り拓く原動力となっている。

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