阿翁石

阿翁石（あおういし）

阿翁石は、長崎県松浦市鷹島町で産出される玄武岩の石材です。鷹島とその周辺地域で様々な建造物に使用されており、その質の高さから長崎県知事指定伝統的工芸品に指定されています。

特徴

鷹島町の阿翁地区で採れる玄武岩を使用し、町内で製造されています。阿翁地区の岩石は、特に品質が良く、粘着力に富んでいるのが特徴です。そのため、非常に繊細な加工が可能であり、風化による経年劣化が少ないという利点があります。

歴史

阿翁石の歴史は古く、鎌倉時代の元寇の戦死者を祀るため、室町時代後期に建てられた墓石が起源とされています。江戸時代には、平戸藩や唐津藩の御用採石場として名を馳せました。そして1991年、長崎県知事指定伝統的工芸品に指定され、その価値が改めて認められました。

活用例

阿翁石は、主に石塔や石碑などの用途で利用されています。近年では、玄関の支柱や石灯籠など、建築物の装飾にも用いられるようになりました。鷹島内では、様々な場所で阿翁石を見ることができます。例えば、鷹島海中ダム竣工記念碑や鷹島肥前大橋の親柱、鷹島モンゴル村の交流シンボル塔などが挙げられます。

鷹島の周辺地域でも阿翁石は活用されています。平戸市のオランダ商館や千里ヶ浜のはり石、福岡県・筥崎宮の「一の鳥居」（肥前鳥居）にも阿翁石が使用されています。筥崎宮の鳥居は1609年に建立されたもので、国の重要文化財に指定されています。

その他、ユニークな活用例としては、松浦市が『アジフライの聖地』を宣言したことを記念して、アジフライを象ったモニュメントが阿翁石で制作され、道の駅鷹ら島などに設置されています。

また、鷹島の「鷹」と福岡ソフトバンクホークスの「ホークス」（英語で鷹）という共通点から、プロ野球チームの福岡ソフトバンクホークスと提携し、阿翁石のお守り『勝鷹』が販売されています。このお守りは、元寇の際に神風が吹いたという鷹島の歴史にちなんだ縁起物として人気を集めています。

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