阿蘇立野ダム

阿蘇立野ダムの概要

阿蘇立野ダム（あそたてのダム）は、熊本県に位置し、一級河川である白川に設置された流水型の治水ダムです。このダムは、2024年4月の運用開始を予定しており、その目的は地域の洪水調節にあります。

ダムの構造と機能

阿蘇立野ダムは、通常時には最下部に設けられた3つの放流孔から水が流れるよう設計されています。これらの放流孔は、各々高さと幅が約5メートルの大きさで、流入する水の量が増える際、計画流入量を2800立方メートル毎秒から600立方メートル毎秒に調節します。この機能により、熊本市内の代継橋地点での基本高水のピーク流量3400立方メートル毎秒のうち、400立方メートル毎秒に相当する洪水調節が行われることが期待されています。

建設の歴史

今回のダムプロジェクトは1983年（昭和58年）に始まり、2018年（平成30年）8月にはダム本体の起工式が行われました。そして、2020年（令和2年）10月にはコンクリート打設が開始され、ダムの工事は進められました。最初の完成予定は2022年度でしたが、工事の遅延により、最終的には2024年2月17日に完成記念式典が行われることとなりました。

熊本地震との関連

2016年（平成28年）4月に発生した熊本地震の影響として、この地区で斜面崩壊や断層活動が確認されたことから、「立野ダム建設に係る技術委員会」が設置され、技術的な調査と評価が行われました。この評価では、以下の2点が確認されました。

1. 第四紀断層: ダム敷及びその周辺において、特別に注意すべき第四紀断層は存在しないことが確認され、断層変位によるズレが生じる可能性は極めて低い。
2. 基礎岩盤: 熊本地震後においてもダムの基礎岩盤には変化が見られず、その健全性に問題はないとされています。

このように、地震の影響についてしっかりとした対策が講じられています。

湛水域の環境

阿蘇立野ダムには湛水域が設けられており、上流側には阿蘇北向谷原始林の一部が含まれています。この区域は、満水時に冠水する標高276メートル以下の範囲があり、原始林の約4%に相当する面積が影響を受けます。2024年1月から行われた試験湛水では、原始林への影響を抑えるために、通常の水位低下量を1日あたり1メートルとするところを、3日間で70メートルに抑えるなどの工夫がされました。

結論

阿蘇立野ダムは、熊本県の洪水対策に重要な役割を果たし、地域環境にも配慮した設計がなされています。運用開始が待たれる中、このダムが地域の安全と環境保護に貢献することが期待されています。

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