阿部正俊

阿部正俊の生涯と業績

阿部正俊（あべ まさとし、1942年11月4日 - 2020年10月25日）は、日本の厚生官僚であり、政治家としても重要な役割を果たしました。彼は、厚生省老人保健福祉局長を経て、自民党の参議院議員として二期にわたり議会で活動しました。

学生時代と初期のキャリア

阿部は山形県北村山郡小田島村に生まれ、山形県立山形東高等学校を卒業後、東北大学法学部に進学しました。子供の頃、彼は事故で左目を失い、その後、高校時代には左耳の聴力も不自由になってしまいました。この経験が、社会福祉に対する強い関心を芽生えさせることとなり、大学時代には障害者施設でのボランティア活動や農家でのワークキャンプに参加しました。これにより、社会福祉整備の重要性を痛感するようになりました。

厚生省でのキャリア

1966年4月、阿部は厚生省に入省し、社会福祉の仕組みを整備するためのキャリアをスタートさせました。その後、彼は様々な役職を歴任しました。1978年には、橋本龍太郎厚生大臣の秘書官事務取扱に就任し、1994年には老人保健福祉局長に就任しました。これらのポジションでの経験を通じて、福祉制度の改革や改善に力を注ぎました。

政治家としての活動

1995年、阿部は第17回参議院議員通常選挙において無所属での立候補を決意します。自民党の推薦と医師会、歯科医師会の支援を受け、見事237,580票を獲得し、初当選を果たしました。その後、自民党に入党し、加藤派や小里派、谷垣派に所属しました。

1998年7月には小渕内閣で総務庁政務次官に就任し、1999年10月には参議院議院運営委員会理事となります。2001年には再選し、参議院厚生労働委員長に就任し、社会福祉や国民衛生に関する政策に強く関わりました。

2003年からは小泉内閣で外務副大臣を務め、外交・防衛政策にも貢献しました。政治家としてのキャリアの集大成とも言える役割を果たした彼ですが、2007年の参議院選挙には出馬せず、政界からの引退を決意します。

最晩年と受賞

引退後も、彼の影響力は途切れることはなく、2015年春には旭日重光章を受章しました。これは彼の長年の福祉事業や政治活動が評価されたものでした。残念ながら、2020年10月25日、阿部は膵臓がんのため東京都内の病院で逝去しました。享年77歳の生涯を持ち、彼の業績は今も多くの人々に語り継がれています。

著書

彼の考えや理念は、著書『成熟社会を創造する』（社会保険研究所、1995年）にまとめられています。この本では、彼が目指していた社会福祉の実現に向けたビジョンが述べられています。彼の人生は困難を乗り越えながらも、多くの人々に影響を与え続けたのです。

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