阿部正由

阿部正由（あべ まさより）

阿部正由は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した大名で、武蔵忍藩の第8代藩主です。忠秋系阿部家の8代目にあたります。寺社奉行、大坂城代、京都所司代といった幕府の要職を歴任し、その能力を発揮しました。和歌山藩主・徳川宗将の十一男として生まれ、はじめは松平頼朴（よりなお）と名乗りました。

生涯

宝暦12年（1762年）11月22日、和歌山藩主・徳川宗将の十一男として誕生しました。幼少の頃は松平頼朴と名乗っていましたが、寛政5年（1793年）1月25日に忍藩主・阿部正識の養子となり、阿部家を継ぐことになります。この際、正識の養女を正室に迎え、家督を継承する準備を整えました。

同年2月には、従五位下播磨守に叙任され、大名としての正式な地位を得ました。寛政8年（1796年）2月21日には、正式に阿部家の家督を相続し、忍藩の藩主となりました。その後、寛政10年（1798年）には奏者番に任じられ、幕府の中枢で活躍するようになります。

享和元年（1801年）7月17日には寺社奉行に就任し、幕府の宗教政策や寺社の管理を担当しました。さらに、文化元年（1804年）1月23日には大坂城代に抜擢され、西日本の要である大坂の治安維持や行政を担いました。文化3年（1806年）10月12日には、京都所司代という要職に就任し、朝廷との交渉や京都の治安維持を任されました。

これらの要職を歴任したことは、正由が幕府からいかに信頼されていたかを物語っています。しかし、文化5年（1808年）10月11日、47歳（満45歳）でこの世を去りました。公式には11月22日に死去と発表されました。家督は長男の正権が継ぎました。

官歴

寛政5年（1793年）12月16日：従五位下・播磨守
文化3年（1806年）：従四位下・豊後守・侍従

系譜

父母

実父：徳川宗将
実母：村上氏（側室）
養父：阿部正識

正室

多喜：阿部正識の養女、阿部正敏の娘

側室

泰寿院

子女

阿部酉次郎
阿部正権（次男）：生母は泰寿院（側室）

養女

明子：亀井茲尚正室、阿部正識の娘

脚注

1. 阿部正由は、その生涯において、幕府の要職を歴任し、その能力を発揮しました。彼の功績は、江戸時代中期から後期にかけての幕府の安定に大きく貢献したと言えるでしょう。

参考文献

工藤寛正編『江戸時代全大名家事典』東京堂出版、2008年。
続群書類従完成会『新訂寛政重修諸家譜』第十、八木書店、1969年。

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