阿部美樹志

阿部 美樹志 (1883年 - 1965年)

阿部美樹志（あべ みきし、1883年5月4日 - 1965年2月20日）は、日本の建築家および土木技術者として、鉄筋コンクリート工学の先駆者と知られています。彼は日本初の鉄筋コンクリート高架鉄道を設計し、「コンクリート博士」と呼ばれることもあります。大正から昭和にかけて、その革新的なデザインと技術で日本の建築界をリードしました。

生い立ちと教育の経歴

阿部は岩手県一関市に生まれ、若いころから優秀な学業成績で知られました。中学校時代は一関尋常中学校で学び、後に札幌農学校土木工学科に進学します。この時期に学費の一部を叔父から受けつつ特待生となり、その学業成就が評価されました。卒業後、農商務省からの海外留学の機会を見出し、アメリカのイリノイ大学大学院で理論応用力学を専門に学び、1914年には博士号を取得します。

職業人生の初期

帰国後は鉄道院に技師として復帰し、東京と万世橋間の高架橋を設計。これが日本初の鉄筋コンクリートの高架橋としての成功を収めました。阿部はその後、自身の事務所を設立し、数多くの鉄道関連の設計を手掛け、多くの高架橋や建物を生み出しました。彼の作品には、梅田阪急ビルや日比谷の東宝劇場群が含まれます。

学院・団体との関係

阿部は教育者としても活躍し、横浜高等工業学校の講師や混擬土専修学校の設立に貢献しました。さらには、さまざまな企業の要職を歴任し、特に土木工学分野で多くの影響力を持ちました。彼は1947年には貴族院の議員にも任命され、同年の貴族院廃止までその職を全うしました。

戦後の活動と受賞歴

戦後は戦災復興院総裁として住宅供給プログラムの実施に尽力し、全国のニーズに対応した住宅の供給策を提案しました。1949年には特別調達庁長官に就任し、さらに1951年には自身の設計事務所を立ち上げました。1964年の春には、勲二等瑞宝章を受賞し、その技術的功績が公式に認められました。

結び

阿部美樹志は1965年に亡くなりますが、彼の遺した功績は現在まで続いており、特に鉄筋コンクリートに関する研究が日本の建築技術の発展に寄与しています。多磨霊園には彼の墓所があり、出生地の一関市には顕彰碑が建てられ、後世にその業績が語り継がれています。彼の人生は、鉄筋コンクリートの新たな可能性を追求し続けた情熱と革新の象徴であり、多くの人々に感動を与えるものでした。

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