阿部賢一

阿部 賢一の生涯と業績

経歴

阿部賢一は、1890年8月28日に徳島県板野郡大山村（現・上板町）で生まれました。教育に対する情熱は若いころから芽生え、1903年から1908年まで同志社普通学校に通い、同級生には著名な活動家の湯浅八郎がいました。卒業後は早稲田大学政治経済学科に進学し、1912年には首席で卒業を果たしました。

卒業後、阿部は同志社大学において講師としてのキャリアをスタートさせました。その後、1916年から1918年にかけてアメリカに留学し、国際的な視野を広げました。1922年に田中穂積の招聘により早稲田大学に移籍し、1935年までの長い間、政治経済学部で教鞭を執りました。その傍ら、ジャーナリズムの分野でも積極的に活動し、岳父である徳富蘇峰が主宰する『国民新聞』の記者をはじめ、『東京日日新聞』の論説委員や主筆を歴任しました。

戦後の活動と評価

戦後は公職追放の憂き目に遭いましたが、その後復帰し、1951年から1961年までの間、これまでの経験を活かして早稲田大学で講師を務めたり、常任理事や評議員会会長として大学運営にも深く関与しました。特に1966年には大学紛争の解決に寄与し、機動隊に頼らずにキャンパスの封鎖を解除するなどの実績を上げました。この功績により、彼は1971年に勲一等瑞宝章を授与されました。

彼の著作

阿部賢一は多くの著作を残しており、経済学の分野において重要な基盤を築くことに貢献しています。代表的な著書には『財政学講義』（上・下巻）、『経済学原論』、さらには『青年の力』などがあります。また、彼は編纂にも関わり、『新聞経済記事の基礎知識』や『最新商業経済辞典』などの書籍も手掛けました。これらの著作は、経済学を学ぶ学生や研究者にとって貴重な資料となっています。

私生活

私生活においては、徳富蘇峰の三女と結婚して家族を持ちました。阿部賢一は1983年7月26日に老衰により92歳で逝去し、その後9月8日に早稲田大学の大隈講堂で追悼式が行われました。

阿部賢一の生涯は、教育界のみならず、ジャーナリズムや経済学研究に多大な影響を与えており、日本社会における重要な精神的支柱の一人として記憶されています。彼の業績は、今もなお多くの人たちによって受け継がれ、評価され続けています。

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