限りなき戦い

「限りなき戦い」（The Battle of Evermore）は、レッド・ツェッペリンの代表的な楽曲の一つです。1971年に発表されたこの曲は、ジミー・ペイジとロバート・プラントによって作詞作曲され、アルバム「レッド・ツェッペリン IV」に収録されました。演奏時間は約5分50秒です。

楽曲の誕生

この曲は、1971年初め、彼らがレコーディングのために滞在していたハンプシャーの古邸宅、ヘッドリィ・グランジで偶然生まれたとされています。レコーディング・エンジニアのアンディ・ジョーンズは、次のように証言しています。

「ある夜、ヘッドリィ・グランジの暖炉の周りでお茶を飲んでいたとき、ジョン・ポール・ジョーンズのマンドリンを手に取ったペイジが、突然リフを弾き始めました。私は急いで手持ちの機材でその演奏を録音しました。すると、プラントもそれに合わせて歌い始めたのです。こうして、何もない状態からあの曲が生まれました。」

この時録音された素材をもとに、ローリング・ストーンズの移動式スタジオを使用して、ヘッドリィ・グランジでレコーディングが行われました。

レコードとゲスト・ボーカル

1971年11月8日、アルバム「レッド・ツェッペリン IV」のA面3曲目に収録されて発表されました。プラントは、自分以外の声も入れたいという意向から、イギリスの女性フォーク歌手、サンディ・デニーにアンサー・ボーカルを依頼しました。この曲は、レッド・ツェッペリンの公式録音楽曲の中で、プラント以外のボーカルが聴かれる唯一の例となっています。

ステージ・パフォーマンス

「限りなき戦い」は、長らくステージで演奏されることはありませんでした。1977年のアメリカ・ツアーで、ジョン・ポール・ジョーンズがアンサー・ボーカルを担当し、初めて、そして唯一のレッド・ツェッペリンによるステージ・パフォーマンスとなりました。その後、ジミー・ペイジとロバート・プラント名義のライブ・アルバム『ノー・クォーター』（1994年）には、ナジマ・アフタールをゲスト・ボーカリストとして迎えた演奏が収録されています。

歌詞と指輪物語

プラントは、歌詞について「ヘッドリィ・グランジに行く前に読んでいたスコットランド戦争に関する本からヒントを得た。私が戦争の様子を語り、デニーが戦争の悲惨さを訴えている」と説明しています。

また、歌詞はJ・R・R・トールキンの『指輪物語』第三部『王の帰還』の一場面である「ペレンノール野の合戦」を象徴的に歌ったものであるという分析も存在します。歌詞に登場する「光の女王」はエオウィンであり、「平和の王子」はアラゴルンを指す、といった解釈があります。

プラントは以前にも、「ランブル・オン」（「レッド・ツェッペリン II」1969年）で『指輪物語』を踏まえたと思われる歌詞（サウロンの根拠地であるモルドールやゴクリが登場する）を書いています。

参考文献

『レッド・ツェッペリン全曲解説』デイヴ・ルイス著、福田美環子訳、シンコー・ミュージック刊

関連項目

指輪物語

外部リンク

* Zeppelin and Tolkien Relations Page - ウェイバックマシン - レッド・ツェッペリンの作品とトールキンとの関係

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