院助

院助（いんじょ、生年不詳 - 天仁元年12月12日（1109年1月14日））は、平安時代後期に活躍した仏師であり、七条大宮仏所、ひいては院派の祖として知られています。院助の出自については諸説あり、定朝の孫または孫弟子にあたる人物であるとされています。また、覚助または長勢の実子、あるいは弟子であったとも伝えられていますが、当時の仏師の社会的地位が低かったこともあり、血縁関係の有無については明確な記録が残っていません。

院助は、承暦元年（1077年）に白河天皇が発願した法勝寺の造仏事業に参加し、薬師堂に安置される大威徳明王の造立に貢献しました。この功績により、院助は兼慶と共に法橋の位を授けられました。その後も院助は仏師として精力的に活動し、長治2年（1105年）には、円勢ら他の仏師たちと協力して、堀河天皇の病気平癒を祈願するための諸仏を造立しました。これらの仏像は尊勝寺に安置され、その功績により院助は法眼の位に昇進しました。

院助の作風については、現存する作品が少ないため、明確な特徴を掴むことは難しいとされています。しかし、院助が率いた七条大宮仏所、そしてその流れを汲む院派は、後の鎌倉時代の仏像彫刻に大きな影響を与えました。院派の仏像は、写実的な表現と繊細な装飾が特徴であり、それまでの仏像彫刻とは異なる新しい様式を確立しました。院助の存在は、日本仏教美術史における重要なターニングポイントの一つと言えるでしょう。

院助に関わる人物としては、父である（または師である）覚助、子である院覚、そして父の弟子である頼助（奈良仏師）が挙げられます。これらの人物もまた、仏師として活躍し、日本の仏教美術の発展に貢献しました。

院助は、その出自や作風については不明な点が多いものの、七条大宮仏所と院派の祖として、後の仏像彫刻に多大な影響を与えたことは間違いありません。その功績は、日本の仏教美術史において特筆されるべきものです。

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