除籍 (図書館)

図書館における除籍とは

図書館における除籍とは、図書原簿から図書館資料を除去する行為を指します。これは、資料の収集とは逆の行為ですが、図書館のコレクションを常に最新で適切な状態に保つために欠かせないプロセスです。除籍は、図書館の資料を整理し、利用者が求める情報にアクセスしやすくするために、継続的に行われるべきです。

除籍の理由

図書館が除籍を行う主な理由は、以下の通りです。

スペースの確保: 新しい資料を追加するための空間を確保します。
利用者の利便性向上: 利用者が有用な資料に素早くたどり着けるようにします。また、図書館員も情報提供をスムーズに行えるようにします。
コレクションの信頼性向上: 資料を最新の状態に保ち、図書館の信頼性を高めます。
コレクションの把握: 図書館員がコレクションの強みと弱みを容易に把握できるようにします。
資料の品質維持: 資料の物理的な状態を良好に保ちます。

デジタルコレクションの場合、スペースは物理的なコレクションほど問題になりませんが、古い情報や不適切な情報を除去することで、検索結果を絞り込み、利用者が本当に必要な情報にアクセスしやすくします。したがって、デジタルコレクションも物理的なコレクションと同様に、最新の状態に保ち、利用者が容易に見つけられるように管理する必要があります。

除籍の基準

除籍は、図書館の資料収集方針に基づいて行われるべきです。除籍基準は、図書館ごとに定められますが、一般的に以下のような基準が用いられます。

内容に関する基準
内容が不十分である
内容が時代遅れである
内容に偏りや差別的な表現、性的な内容が含まれている
内容が利用者のニーズに合わない
内容が利用者にとって高度すぎる、または低度すぎる
状態に関する基準
資料が修復困難なほど破損している
資料が汚損している、異臭がする
資料が次の貸し出しに耐えられない
利用状況に関する基準
一定期間、利用されていない資料
その他の基準
蔵書の重複
他の資料に同じ情報がある
資料の交換が行われた
視覚的訴求力に欠ける

除籍資料の行方

除籍された資料は、通常、無償で譲渡されるか廃棄処分されます。図書館の利用者などに無償譲渡される資料は、読むことに支障がないものがほとんどです。除籍資料の転売は図書館側で禁止されていますが、古本市やネットオークションなどで流通することがあります。また、利用頻度の高い児童書は、破損すると除籍されますが、再度購入されることが多いです。

除籍に関する課題

除籍は、地域住民の間で議論を呼ぶことがあります。資料の廃棄や、特定の書籍が除籍されることに対して、批判的な意見が出ることもあります。また、過去には司書が独断で特定の著作を除籍したことで問題になった事例もあります。除籍は、慎重に行われるべきであり、図書館の透明性と説明責任が求められます。

まとめ

除籍は、図書館のコレクションを最新で適切な状態に保つために不可欠なプロセスです。適切な基準に基づいて除籍を行うことで、図書館は利用者のニーズに応え、より質の高いサービスを提供することができます。除籍に関する議論は、図書館の役割や情報へのアクセスについて深く考えるきっかけにもなります。

参考文献

兼村ゆり香「書架の狭隘化と除籍図書のリサイクルについて 沖縄国際大学図書館の「譲渡会（本のリサイクル）」を事例に」『沖縄県図書館協会誌』第15巻、沖縄県図書館協会編集委員会、2011年、61-65頁、NCID AN0035701X。
上田修一・倉田敬子 編 編『図書館情報学 第二版』勁草書房、2017年3月20日、298頁。ISBN 978-4-326-00043-2。

関連項目

* 蔵書点検

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