陳修 (明)

陳修（ちん しゅう）

陳修（1321年 - 1371年）は、元朝末期から明朝初期にかけて活躍した官僚であり政治家です。字（あざな）は伯昂（はくこう）といい、信州上饒県（現在の江西省上饒市）の出身です。

生涯

陳修は、朱元璋（後の明の太祖）が勢力を拡大していく中で、その麾下に入り、浙東（現在の浙江省東部）の平定に貢献しました。その功績が認められ、理官（刑罰や裁判を司る官職）に任じられます。そこで、彼は律令を重視し、厳格な法治ではなく、穏健で寛大な統治を行うことで、元朝末期の混乱によって疲弊した民心の安定を図りました。特に、旧体制の弊害を改め、民衆の生活を立て直すことに尽力しました。

その後、陳修は兵部郎中（軍事を司る部署の役人）に抜擢され、さらに済南府知府（現在の山東省済南市の長官）に転任しました。当時、済南府は元朝末期の混乱によって荒廃し、多くの民家が失われ、人々は生計を立てるのが困難な状況にありました。さらに、軍事動員のための屯田制によって、民衆は土地を奪われ、生活は困窮していました。このような状況に対し、陳修はまず兵士と民衆の不安を取り除くことを第一に行いました。その上で、民衆が安心して生活できるように政策を実行し、逃亡していた人々を呼び戻し、生業を再開させました。彼の努力によって、済南府は次第に活気を取り戻していきました。

1371年（洪武4年）の閏3月、陳修はその功績を認められ、吏部尚書（官吏の人事などを司る部署の長官）に任命されました。彼は、侍郎（次官）の李仁詳（り じんしょう）と共に、過去の制度を参考にしながら、当時の状況に合わせた新たな官制の整備に取り組みました。特に、官吏の任免、進退、考査に関する法を立案し、条例として明文化することで、官僚制度の基礎を築きました。しかし、その年の7月に、陳修は51歳で病のため亡くなりました。

陳修は、元末明初の混乱期において、朱元璋を支え、民衆のために尽くした官僚でした。彼の穏健な統治は、明朝初期の社会安定に大きく貢献したと言えるでしょう。

参考文献

* 『明史』巻138 列伝第26

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