陳垣

陳垣（ちん えん、1880年 - 1971年）は、清末から中華人民共和国初期にかけて活躍した歴史学者で、字は援庵（えんあん）です。彼は中国宗教史研究の先駆者として、その名を知られています。

若い頃は科挙合格を目指していましたが、志を果たせず、1905年からは広州で『時事画報』を創刊し、革命思想の普及に尽力しました。その後、博済医学院（現在の嶺南大学と中山大学嶺南学院）に入学し、医学を学びました。

1911年の辛亥革命後、1913年には衆議院議員に選出され、政治の世界へ足を踏み入れます。1921年には、中華民国教育部次長に任命されましたが、政治腐敗に失望し、政界を引退。北京に留まり、歴史研究と教育に専念することになります。この時期に発表した『元也里可温考』は、宗教史、校勘学、考古学の各分野で高く評価される名著となりました。

1926年から1952年までの間、北京の輔仁大学の校長を務め、教育者として手腕を発揮しました。1952年からは、輔仁大学が統合・改組された北京師範大学の校長として、その生涯を閉じるまで教鞭を執りました。

1959年には中国共産党に入党しましたが、文化大革命中には自宅軟禁されるという苦難も経験しました。1971年6月21日、北京で91歳で逝去。

陳垣は、その研究活動を通じて、中国の歴史研究に多大な貢献をしました。彼の著作は、現在でも研究者にとって重要な資料となっています。

主な著作

『南宋初河北新道教考』
『明季滇黔仏教考』
『清初僧諍記』（野口善敬訳注、中國書店、1989年）
『通鑑胡注表微』
『二十史朔閏表』
『史諱挙例』
『釈氏疑年録』（中華書局、1965年→中國書店、2008年）
『中国仏教史籍概論』（西脇常記・村田みお共訳、知泉書館、2014年）
『敦煌劫餘録』
『神会和尚遺集』

関連項目

新文化運動
輔仁大学
* 北京師範大学

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