陳希同

陳希同（ちん きどう）

陳希同（1930年6月10日 - 2013年6月2日）は、中華人民共和国の政治家として、特に1960年代から90年代にかけての中国の政治において顕著な活躍をした人物です。彼は、文化大革命から六四天安門事件までの激動の時代の中で、重要な役割を果たしました。彼の一生は、政治的権力の高まりと急激な失脚、さらには晩年の病との闘いに彩られています。

略歴

1948年、彼は18歳で北京大学の中文学部に入学しますが、後に中退します。1949年12月に中国共産党に入党し、北京市における政治活動に従事しました。1953年には、北京市党委員会の第二書記の秘書として働き、そこから彼の政治的キャリアが始まりました。しかし、文化大革命の影響で彼は「旧市委」の人間と見なされ、下放される運命を辿ります。1971年に復帰し、昌平県党委書記に就任。1979年12月には北京市副市長に就任し、1981年9月には北京市党委の常務委員となりました。

1982年の第12回党大会にて中央委員に選ばれ、その後1983年には北京市長、1987年には北京市党委副書記に昇進。1988年には李鵬内閣で国務委員に任命されましたが、1989年の六四天安門事件では、学生たちの鎮圧を支持する立場を取りました。彼はその事を『動乱と反革命暴乱を制したことに関する状況報告』にて詳細に報告しました。

失職と汚職疑惑

陳の政治的キャリアは、1995年の汚職審査が始まることで暗転します。彼に密接に関わっていた王宝森・常務副市長が自殺した後、陳も監督責任を問い直されることになります。その後、彼は中央政治局委員及び中央委員の職を解任され、最終的には汚職により懲役16年を宣告されました。この告発は、彼の経歴の中で非常に公にされ、政治局委員としては1981年以来の厳しい措置でした。

六四天安門事件後

彼の失脚は、江沢民の中央集権体制の中での権力争いに敗れたことが大きな要因とされています。江沢民に対する批判的な姿勢を持つ彼が失脚した後、北京市党委書記は新たな指導者に引き継がれ、政治的勢力のバランスが変わっていく様子が見受けられました。

晩年

晩年は健康問題に苦しむことになります。2006年にはガン治療のために保釈されたとの報道があり、2009年には末期ガンと診断され、治療を受けていたことが明らかになりました。2012年5月にはサウスチャイナ・モーニング・ポストのインタビューに応じ、六四天安門事件について悔やまれる悲劇との見解を示しましたが、自身が共産主義者であるという立場は変わらず、動乱の原因を依然として議論していました。2013年6月2日、彼は死去しました。彼の一生は、権力と責任、そして個人の健康との間で揺れ動く複雑な歴史を物語っています。

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