陳本深

陳本深（ちん ほんしん、1380年 - 1460年）は、明代に活躍した官僚であり、字は有源、号は涇泉と称しました。彼の出身は寧波府鄞県です。

生涯

永楽帝の治世初期、陳本深は郷挙により国子監に入学し、官僚としての道を歩み始めました。彼は刑部主事に任じられ、その類まれな犯罪者摘発能力を発揮しました。ある時、都の周辺で発生した殺人事件で、無実の者が18人も拘束されるという事態が発生しました。陳本深は卓越した計略を用いて真犯人を逮捕し、無実の人々を解放しました。この功績により、彼は刑部員外郎に昇進しました。

1430年（宣徳5年）、陳本深は吉安府知府として地方に赴任しました。当時、吉安府では豪族が権勢を振るい、濫訴が横行していました。特に彭摶ら19人の有力者が地域社会を混乱させていたため、陳本深は彼らと親交を結び、宴席を設けました。その席で、陳本深は予め用意しておいた壮士たちを後堂に潜ませ、彼らを一網打尽にして処刑しました。この出来事は、吉安府の人々に大きな衝撃を与えました。

また、1435年（宣徳10年）には、楽安県の曾子良が反乱を起こし、大盤山を拠点に1万人以上の勢力を集結させました。陳本深は伏兵を巧みに配置し、反乱軍を打ち破り、曾子良を討ち取りました。これらの功績により、陳本深の吉安府における評価は確固たるものとなりました。

陳本深は、単に治安維持に努めるだけでなく、文化的な発展にも貢献しました。彼は、学宮を整備し、先儒である欧陽脩、周必大、楊邦乂、胡銓、楊万里、文天祥の祠廟を新築するよう上奏しました。これらの行動は、彼の学問への敬意と地域文化の向上への熱意を示すものでした。

1439年（正統4年）、陳本深は9年間の任期を終え、転任の時期を迎えました。しかし、吉安府の民衆は彼の留任を熱心に請願し、その結果、陳本深は正三品の俸給を与えられ、引き続き吉安府知府を務めることになりました。最終的に、1448年（正統13年）まで18年間、吉安府知府を務め上げ、高齢を理由に引退しました。

陳本深が吉安府を離れる際、人々は彼の功績を称え、彼の肖像を祀りました。彼の死後も、吉安府の人々は彼の恩恵を忘れず、その功績を語り継ぎました。陳本深は1460年（天順4年）に自宅で亡くなりました。享年81歳でした。

陳本深の生涯は、明代の官僚としての模範を示すものであり、彼の卓越した能力と民を思う心が、その後の歴史に深く刻まれています。

参考文献

* 『明史』巻161 列伝第49

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