陳毅 (民国)

陳毅（ちん き、字は士可）は、中華民国初期に活躍した政治家です。同姓同名の陳毅（中華人民共和国の元帥・外交部長）とは別人です。北京政府において、主に外蒙古地域で重要な役職を歴任しました。

生涯

陳毅は清朝の時代に附生（科挙の合格者）となり、学問の道を歩み始めました。湖北両湖書院を卒業後、学部の参事、図書館の纂修、法律館の纂修、そして憲政館の統計科員といった役職を歴任しました。これらの経験を通して、彼は政治や行政に関する幅広い知識と能力を培いました。

中華民国が成立すると、陳毅は北京政府の中枢で活躍の場を広げます。総統府の秘書、蒙蔵事務局の参事、そして蒙蔵院の参事といった役職を歴任し、モンゴルやチベットといった辺境地域の行政に関与しました。1915年6月には、烏理雅蘇台（ウリヤスタイ）佐理員に任命され、モンゴルでの行政実務を担うこととなります。

その後、1917年12月には、庫倫（現在のウランバートル）弁事大臣に任命され、モンゴルにおける中国の権益を代表する重要な立場を担いました。1920年8月には、西北籌備使、西北辺防司令、そして督弁外蒙善後事宜（モンゴル善後事務の監督）という、モンゴルにおける軍事・行政両面での最高責任者となります。さらに同年9月には、庫烏科唐鎮撫使に転任し、モンゴル各地を管轄することとなります。

しかし、1921年になると、モンゴル軍がロシア白軍と連合して庫倫を攻撃してきました。陳毅は自ら軍を率いて防戦に努めましたが、寡兵であり、最終的に敗北を喫し、庫倫は陥落しました。この責任を取る形で、陳毅は同年3月に職務を罷免されました。

この職務罷免後、陳毅の消息は不明となっています。彼のその後の足跡をたどることは現在では困難です。

まとめ

陳毅は、中華民国初期の激動期において、モンゴル方面で重要な役割を果たした政治家でした。清朝末期から中華民国初期にかけて、行政、法律、軍事と幅広い分野でその能力を発揮し、モンゴル地域の安定と中国の権益確保に尽力しました。しかし、時代の波に翻弄され、その後の消息は途絶えており、歴史の影に埋もれた人物ともいえるでしょう。

参考文献

* 徐友春主編『民国人物大辞典 増訂版』河北人民出版社、2007年。ISBN 978-7-202-03014-1。

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