陳祚 (明)

陳祚（ちん そ、1382年 - 1456年）は、明代の官僚であり、字は永錫と称しました。蘇州府呉県を本貫とし、その生涯は明朝の政治と社会の変遷を色濃く映し出しています。

陳祚は陳子敬と顧氏の間に生まれました。1411年（永楽9年）に進士に及第し、翰林院庶吉士という役職に就きます。翌1412年（永楽10年）には、その才能を認められ、河南右参議へと抜擢されました。しかし、1417年（永楽15年）に大きな転機が訪れます。河南布政使の周文褒、王文振とともに、北京への遷都には利がないという意見を上奏したのです。これが時の皇帝の逆鱗に触れ、彼らはそろって均州太和山の佃戸に落とされ、そこで耕作に従事しながら静かに暮らすこととなりました。

1425年（洪熙元年）、洪熙帝が流刑に処された官僚たちの中から選抜して任用するよう命じました。陳祚もその一人として選ばれましたが、残念ながら洪熙帝が間もなく崩御したため、任用は実現しませんでした。しかし、彼の才能は埋もれることなく、1427年（宣徳2年）に宣徳帝が御史に命じて均州に流された人々を試験させた際、陳祚は首席の成績を収めます。吏部での試験でも再び第一位となり、その実力を示しました。この結果、陳祚は監察御史に抜擢され、福建巡按として赴任します。

福建では、多くの高級官吏の不正を暴き、少数民族との交易を禁止するなど、厳しい姿勢で職務に取り組みました。北京に戻ると、白塔河の上流を邵伯湖に繋ぎ、下流を長江に注ぐように開削するよう上奏し、これが実現すると、蘇州府や松江府の舟の往来が便利になりました。その後、江西巡按として再び地方に赴任することになります。

しかし、1431年（宣徳6年）、陳祚は宣徳帝に真徳秀の『大学衍義』を読むように勧めたことが、皇帝の怒りを買い、投獄されるという事態に陥ります。さらに、彼の家族16人も逮捕され拘禁されました。獄中では父、弟、母、兄、甥が相次いで亡くなるという悲劇に見舞われましたが、陳祚自身は生き延びます。1435年（宣徳10年）、英宗が即位すると、陳祚は釈放され、御史として復職を許されました。その後、湖広巡按として地方に派遣されています。

1438年（正統3年）、陳祚は巡撫侍郎の呉政とともに、遼王朱貴烚の罪を非難する上奏を行い、再び逮捕され北京に連行されて投獄されます。しかし、まもなく赦免され釈放されました。陳祚は、法司の刑事の論告判断には法律違反が多いと主張しました。その後、南京に転出し、さらに福建按察使司僉事として再び福建に赴任します。ここでは、祀典に載っていない神祠をすべて撤去するという強硬な姿勢を見せました。景泰年間には、病のため官を辞し、故郷に戻ります。1456年（景泰7年）2月に75歳で亡くなりました。

陳祚は、その波乱に満ちた生涯の中で、幾度となく逆境に立ち向かいました。官僚としての職務を忠実に果たし、不正を厳しく糾弾する一方で、皇帝の怒りを買い投獄されるという経験もしました。彼の著書である『小学集解正誤』は、その学識の深さを物語るものであり、後世にその名を残しています。

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