翰林院

翰林院について

翰林院（かんりんいん）は、中国の歴史上、特に唐代中期以降の詔書の起草や書物の編纂に大きな役割を果たした役所です。満州語では「bithei yamun」と呼ばれるこの機関は、唐の玄宗の治世下である開元26年（738年）に設立されました。当初は翰林学士院として知られ、後に元代には国史院と統合されて翰林国史院と呼ばれるようになりますが、明代に再び翰林学士院の形に戻りました。また、大順では弘文館と呼ばれていました。

清代の翰林院

清代において、翰林院は皇帝直属の秘書室としての機能を果たし、主に詔勅の起草や書物の編纂を行っていました。さらに、優れた人材を集め、育てる「貯才の地」としても認知され、これにより優秀な人材が必要に応じて中央官庁や地方の要職に任命されることが可能となりました。翰林院には、学問や政治における最高の人材が集まることから、Academy（アカデミー）の訳語としても用いられています。

科挙と翰林院

翰林院の重要な側面の一つは、科挙の結果に基づいて優秀な人材を選抜することでした。特に、科挙の殿試において第1位の者である状元は翰林院修撰として無条件に任命されます。第2位の榜眼、第3位の探花も「第一甲」とされ、翰林院の編修に就任することが保障されます。一方、その他の合格者（「第二甲」・「第三甲」）は、翰林院が主催する朝考の試験を経て、庶吉士に任命され、翰林院に残ることができます。

朝考とその内容

朝考の試験内容は時代によって異なるものの、一般的には論文や詔勅の原案、詩作、上奏文といった課題が出題されることが多いです。進士として合格した場合でも、「第一甲」の3名や庶吉士を除く他の者は、翰林院を出て内外の役職に就任しなければならないため、地方官に任じられることが多くなりました。しかし、地方に出てしまうとさらなる出世が難しくなるため、多くの優秀な人材が翰林院に留まることを希望しました。

併設機関と任命者

また、博学宏詞科からの推挙により、在野で活躍する学者や文人、棋の国手（囲碁の名人）が任命される棋待詔という制度も存在しました。さらに、書道や絵画に秀でた者は、併設された「伎術院（ぎじゅついん）」に集められ、特に翰林図画院は後に独立した皇帝直属の機関として運営されるようになりました。

まとめ

このように、翰林院は中国歴史の中で重要な役割を果たし続け、政治や学問の発展に寄与した機関です。その機能の変遷や任命制度を通じて、優秀な人材が歴代の権力者によって活用されたことは、中国の歴史を理解する上で欠かせない要素となっています。

もう一度検索