陳達

陳達（ちん たつ）

陳達は、中国史に名を残す複数の人物に見られる名前です。後漢時代には宦官として、清の時代には政治家として記録されていますが、最もよく知られているのは、中国の小説『水滸伝』に登場する人物としての陳達でしょう。本項では、この『水滸伝』における陳達に焦点を当て、その人物像と物語における役割を詳しく解説します。

『水滸伝』における陳達

『水滸伝』において、陳達は梁山泊の七十二星の一人、地周星の生まれ変わりとして描かれています。渾名は「跳澗虎（ちょうかんこ）」で、これは谷間を飛び越える虎のように勇敢で敏捷な様子を表しています。武器は柄が鋼鉄製の槍である点鋼槍を愛用していました。

陳達は、華州に近い少華山を根城とする山賊の一員で、頭領の朱武、楊春と共に山賊行為を働いていました。彼は、短慮で猪突猛進な性格で、物語の中ではしばしばその行動がトラブルを引き起こします。

生涯

物語の初期、陳達は少華山の第二の頭領として登場します。ある日、朱武が金銭を得るための計画を立てた際、陳達は華陰県の役所を襲撃することを主張します。しかし、そのためには豪傑として名高い史進が住む史家村を通らなければならず、朱武と楊春は反対しますが、陳達はこれに怒り、手下を率いて強行します。

史家村に到着した陳達は、待ち構えていた史進と一騎打ちを挑みますがあっけなく敗北し、捕らえられてしまいます。その後、朱武と楊春が史進に自首することで、史進はその義侠心に感銘を受け、陳達は縄を解かれることになります。この出来事をきっかけに、陳達は史進と親交を深めます。しかし、山賊と交友関係を持つことが露見した史進は村を離れざるを得なくなり、少華山に身を寄せます。当初、史進は頭領となることを拒否していましたが、紆余曲折を経て少華山の頭領として迎えられることになります。

その後、史進の下で山賊行為を働いていた陳達ですが、ある時、史進が華州の太守に捕らえられます。さらに、史進を梁山泊に誘いに来た魯智深も捕らえられてしまいます。これを受け、陳達ら少華山の仲間たちは梁山泊と協力して華州を襲撃し、二人を救出することに成功します。この功績により、陳達は史進、朱武、楊春と共に梁山泊入りを果たします。

梁山泊入山後は、馬軍小彪将兼斥候として、史進の副将として活躍します。楊春と共に戦場で戦い、その勇猛さを示しました。朝廷招安後も、史進の副将として遼国戦や田虎、王慶討伐に参戦します。しかし、方臘討伐の際、昱嶺関での偵察中に龐万春の待ち伏せに遭い、弓矢の雨を浴びて戦死してしまいます。

陳達は、その短慮な性格が災いしてトラブルを引き起こすこともありましたが、義理堅く、仲間思いな一面も持ち合わせていました。彼の生涯は、『水滸伝』における数多くの英雄たちの生き様を象徴する一つであり、物語を彩る重要な要素となっています。

もう一度検索