陶器車

陶器車（とうきしゃ）

陶器車は、日本国有鉄道（国鉄）において特別な貨車として使用されたものであり、その名前は英語で陶器を意味する「ポッテリー（Pottery）」の頭文字「ポ」に由来しています。この貨車は、一般的な有蓋貨車の一種となり、特に陶磁器のばら積み輸送に特化した設計がなされています。国鉄の車両形式における原則として半濁点は通常使用されませんが、ホッパ車の「ホ」との区別のために、家禽車と合わせて例外的に半濁点が認められています。

概要

陶器車は、陶磁器を厳重に梱包するのではなく、簡易的な縄掛けによってばら積みで輸送するための貨車です。陶器を扱う際には、以前はしっかりした荷造りが必要であり、通常の有蓋車を使用していました。しかし、昭和初期に棚付き家畜車を使ったばら積み輸送の試験が行われ、好成績を収めた結果、1933年（昭和8年）に改造で初めての陶器車であるポ1形が製作されました。

この陶器車は外観上、一般的な有蓋車と大きくは変わらないものの、貨物室内には取り外し可能な棚が設けられており、2段構造になっています。さらに室内は3つの区画に分かれており、荷役扉の上には荷崩れを防ぐための扉板が2枚備わっています。これにより、陶器が安全に輸送できるよう工夫されています。

使用と廃止

日本国有鉄道には、陶器車の形式として6種類が存在し、そのほとんどは有蓋車や無蓋車からの改造によって製作されました。特に、ポム200形のように、豚積車から改造された車両もあったため、意外性のある取り組みが伺えます。これらの陶器車は主に中京地区の鉄道駅に常備され、陶磁器の輸送に広く利用されました。

しかしながら、昭和59年に実施されたダイヤ改正以降、コンテナ輸送が主流となり、陶器車の需要が減少しました。その結果、1986年（昭和61年）までにすべての陶器車が廃止されることとなりました。時代の変化に伴い、その役割を終えた陶器車は、多くの人々にとって歴史の一部となっています。

形式

日本国有鉄道において在籍した陶器車の形式及び輌数については、詳細な資料が残されています。これらは貨物輸送の歴史を知る上でも重要であり、今後の研究の対象となるでしょう。

参考文献

• - ネコ・パブリッシング『レイルマガジン』吉岡心平「保存版 記号別貨車図鑑」1996年2月号 vol.149
• - イカロス出版『J-train』吉岡心平「昭和50年の貨車情勢」2008年 Vol.31
• - 秀和システム 高橋政士・松本正司『貨物列車 機関車と貨車の分類と歴史がわかる本』
• - 貨車技術発達史編纂委員会 編「日本の貨車―技術発達史―」2008年、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊

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