陸上自衛隊冬季戦技教育隊

陸上自衛隊冬季戦技教育隊について

陸上自衛隊冬季戦技教育隊（JGSDF Cold Weather Combat Training Unit）は、北海道札幌市に拠点を置く、北部方面混成団隷下の教育隊です。通称「CWCT」または「冬季レンジャー」として知られ、日本で唯一の冬季戦専門部隊として、極寒の環境下での戦闘技術と、オリンピック選手を育成する特殊な役割を担っています。

歴史

1960年、厳冬期の訓練で陸曹クラスのベテランが涙するほどの過酷な経験から、冬季戦に特化した部隊の必要性が認識されました。同年、特別戦技訓練隊準備室が設置され、翌年には特別戦技訓練隊が発足。その後、1971年に北部方面スキー訓練隊を統合し、現在の冬季戦技教育隊へと改称しました。2011年には北部方面混成団隷下となり、現在に至ります。

編制

冬季戦技教育隊は、主に以下の部門で構成されています。

戦闘戦技教育室: 冬季レンジャー課程の指導を担当。
調査研究室: 冬季戦闘時の部隊運用に関する研究を行う。

かつては、バイアスロンやスキーの選手を育成する特別体育課程教育室も存在しましたが、2016年に自衛隊体育学校隷下へ編成替えされました。


また、全日本スキー連盟デモンストレーターの資格を持つ隊員が在籍しており、スキー技術指導を通じて隊員の技術向上を図っています。

特徴

北海道という寒冷・豪雪地域に位置する特性上、冬季戦技教育隊は雪中戦の研究開発に力を入れてきました。特に、低視認性装備や隊員の体力低下を防ぐ戦技の研究では、アメリカ陸軍をも凌駕するとも言われています。現在では、新型スキー板やかんじき、白色外衣などの開発を進め、雪中での戦闘能力のさらなる向上を目指しています。

かつては、対ソ連を想定した特殊部隊としての側面が強く、選抜された精鋭隊員が過酷な訓練を積んでいました。現在では、オリンピック選手の育成機関という側面が注目されがちですが、特殊部隊としての練度も維持しており、陸上総隊直轄の特殊作戦群と合同訓練を頻繁に行っています。また、警察官に対するレンジャー訓練も実施しており、各県警SATとの交流も深めています。

その他、原子力発電所の警備訓練や、各種火器の訓練、潜水訓練、渡河訓練など、夏季の訓練も精力的に実施しています。有事の際には、教育隊から特殊部隊へと編成換えされる計画がありますが、その詳細については明らかにされていません。

国際的な交流

冬季戦技教育隊は、アメリカ陸軍などの積雪寒冷地専門部隊と積極的に技術交流を行っており、その技術と能力は国際的にも高く評価されています。

教育課程

冬季戦技教育隊では、以下のような教育が実施されています。

冬季遊撃課程: 冬季における戦闘技術を学ぶ。
上級スキー指導官養成/練成訓練: スキー指導者の育成。
初級幹部冬季戦技集合訓練: 初級幹部向けの冬季戦技教育。
警察レンジャー教育: 警察官向けのレンジャー訓練。

冬季戦技教育隊でレンジャー教育を受けると、冬季遊撃レンジャーの資格が与えられ、特別なレンジャー徽章が授与されます。

主要装備

73式小型トラック
73式大型トラック
64式7.62mm小銃
89式5.56mm小銃
62式7.62mm機関銃
9mm拳銃
5.56mm機関銃MINIMI
84mm無反動砲
110mm個人携帯対戦車弾

関連作品

冬季戦技教育隊は、様々なメディア作品にも登場しています。

テレビ番組: 『1×8いこうよ!』(冬季五輪企画で登場)
アニメ・漫画: 『OBSOLETE』,『魔法少女特殊戦あすか』
小説: 『ゴルゴタ』, 『ミッドナイトイーグル』,『黙示の島』



このように、冬季戦技教育隊は、特殊な環境下での戦闘能力と、オリンピック選手育成という二つの側面を併せ持ち、日本の防衛とスポーツ振興に貢献している部隊です。

もう一度検索