陸軍士官学校 (チリ)

チリ陸軍士官学校：リベルタドール・ベルナルド・オイギンス陸軍士官学校

チリ陸軍士官学校（Escuela Militar）は、チリ陸軍の将校を育成する士官学校であり、卒業生は少尉に任官します。正式名称は「リベルタドール・ベルナルド・オイギンス陸軍士官学校（Escuela Militar del Libertador Bernardo O'Higgins）」です。

沿革

フランス式時代（1817年～1876年）

1817年3月16日、ベルナルド・オイギンス将軍により、将来の将校および軍曹を養成する目的で「Academia Militar」として創設されました。タルカワノ包囲戦やカンチャ・ラヤダの戦いなど、チリ独立に貢献した将校を輩出しましたが、財政難により1819年に一度閉鎖されました。その後、1831年に再開されたものの、国内の混乱により1838年に再び閉鎖。1842年に再開され、1843年に「Escuela Militar」と改称されました。この時期には、対スペイン戦争や太平洋戦争で活躍する陸海軍将校が育成され、チリの勝利に大きく貢献しました。

19世紀のチリ陸軍は、ナポレオン時代のフランス軍の組織、伝統、習慣、軍服を模倣していました。これは、ナポレオンの軍事的威信と、クリミア戦争におけるフランス軍の効率性が影響しています。

1876年に解散した後、国際情勢の緊迫化により1878年に再開。19世紀末には、アルトゥーロ・プラット海軍兵学校と統合され、新校舎の建設が始まりました。

プロイセン式時代（1885年～1927年）

1885年9月、エミリオ・ケルナー・ヘンツェ大尉を筆頭に、ドイツ人将校がチリに到着しました。1896年以降、ドイツ人教官が大量に招聘され、グンター・フォン・ベロー少佐が校長に、ヘルマン・ロガラ・フォン・ビーベルシュタイン少佐が副校長に就任。プロイセン式の軍事教育が導入され、プロイセン製ヘルメットやドイツ式に基づいた制服が採用されました。1900年から1910年までの間、エミリオ・ケルナー総司令官の下で、チリ軍の基礎が築かれました。

1927年には、アルパタカルの悲劇が発生。ブエノスアイレスでのパレードに参加予定だった生徒たちが列車事故に遭い、多数の死傷者が出ました。しかし、事故にも関わらず、チリの生徒たちはパレードに参加し、その精神は現在も追悼されています。

近年（1940年～現在）

1940年、アルナルド・カラスコ校長の尽力により、ラス・コンデス地区に新しい士官学校が建設され、1958年までに移転が完了しました。それまで使用されていたオイギンス公園近くの旧校舎は、手狭になっていました。

1973年のクーデター後、軍事政権のメンバーがここで宣誓を行いました。1995年には初の女性士官候補生が入学し、女性による軍事訓練が開始されました。2009年の法改正により、陸軍士官学校は高等教育機関となり、卒業生には「陸軍士官」の称号が与えられるようになりました。現在では、チリ・カトリック大学、チリ大学などが学術プログラムで協力しています。

アウグスト・ピノチェトの遺体は、2006年に陸軍士官学校に安置されました。

教育

最終学年では、学生は兵科（歩兵、砲兵、騎兵、工兵、通信兵）と、経理、兵器、人事などの服務を選択します。

また、中尉を対象とした上級コースや、少尉を対象とした基礎コースなどが用意されています。

特殊技能としては、軍事技術エンジニア、参謀などの専門分野を学ぶことができます。下級士官に対しては、戦闘潜水員、コマンドー、電子戦、体育教官、山岳教官、諜報員、乗馬教官、砲兵航空監視員、落下傘兵、陸軍飛行士、軍事学教授、特殊戦闘、特殊作戦などの専門訓練が提供されます。

軍職

士官学校卒業生の軍歴と進級年数は定められています。

校歌

音楽は士官学校の重要な要素であり、士官候補生で構成される軍楽隊と、プロの音楽家で構成される器楽隊が、学校の様々な行事で演奏を担当します。校歌は、サミュエル・リヨ作詩、プロスペロ・ビスカート作曲です。

関連項目

陸軍大学校（Academia de Guerra del Ejército de Chile）
Academia Politécnica Militar
陸軍下士官学校（Escuela de Suboficiales del Ejército de Chile）
ベルナルド・オイギンス大学（Universidad Bernardo O'Higgins）

外部リンク

* チリ陸軍士官学校公式サイト

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