チリ陸軍

チリ陸軍

チリ陸軍（Ejército de Chile）は、チリ共和国の陸軍であり、海軍、空軍と共にチリ国軍を構成しています。南米諸国の中でも特に近代化と専門化が進んでおり、そのルーツはナポレオン大陸軍やプロイセン陸軍の伝統にあります。

歴史

1810年12月2日、ホセ・ミゲル・カレーラの指導のもと、サンティアゴ・デ・チレの自治政府国民会議によって陸軍が創設されました。カレーラやホセ・デ・サン・マルティン、ベルナルド・オイギンスといった指導者の下、スペイン王党派との独立戦争を戦い抜き、独立を達成。1817年には、オイギンスが軍の再編のために陸軍士官学校を設立しました。チリ解放後、サン・マルティン将軍率いるアンデス軍は、ペルーの首都リマを解放しました。

その後、周辺諸国の革命、1836年からのペルー・ボリビア連合との連合戦争、アラウカニア制圧作戦、太平洋戦争、1891年のチリ内戦など、数々の戦いを経験しました。19世紀末からはドイツ軍の指導を受け、その影響から「世界最後のプロイセン軍」とも呼ばれました。1973年のアウグスト・ピノチェトによるチリ・クーデターでは、陸軍が軍事政権を支え、現在に至ります。

2018年10月18日、サンティアゴで発生したチリ暴動では陸軍が出動し、市内に兵士と戦車が配備され治安維持にあたりました。これは、1990年のピノチェト独裁政権崩壊以来の出来事でした。

組織

陸軍本部は首都サンティアゴに置かれ、6個師団がそれぞれの軍管区を担当し、区域内の防衛警備を行います。その他、ランカグアに航空旅団、コリナに特殊作戦旅団、後方支援師団があります。2017年時点での現役兵は約46,350人です。

陸軍総司令部の下には、陸軍官房、陸軍会計監査部、陸軍監査部、軍事調査研究センター、陸軍参謀本部といった組織があります。地上作戦軍はコンセプシオンに司令部を置き、第1から第6師団がそれぞれ異なる地域を担当しています。また、教義研究集団、部隊支援集団など、教育・研究、後方支援を担う組織も存在します。

装備

チリ陸軍は、ドイツ製のレオパルト戦車をはじめ、様々な国から装備を調達しています。車両は戦車、装輪車、装軌車を保有しています。火器は、小火器、火砲、誘導弾・ロケットなどがあります。

主な装備品
戦車: レオパルト2A4、レオパルト1、AMX-13
装輪車: ピラーニャ、EE-9カスカベル、EE-11ウルツ
装軌車: マルダー歩兵戦闘車、AIFV-B、YPR-765、M113装甲兵員輸送車
火器: Cz75、FAMAE SAF、FN P90、IMI ガリル ACE22 NC、SIG SG540-1

航空機も保有しており、CASA C-212、CN-235、セスナ、各種ヘリコプターなどを運用しています。

階級

（階級に関する詳細な情報は省略）

備考

チリ陸軍は、かつて銅輸出金額の10％を国防省に納付する「銅機密法」という特異な制度によって、軍の近代化を進めてきました。この制度は世界的に見ても珍しいものでした。

チリ陸軍は、その長い歴史と近代的な装備、組織を通じて、チリの防衛と治安維持に重要な役割を果たしています。

参考資料

* Christopher Langton,The Military Balance 2007, Routledge

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