陸軍技術研究所

陸軍技術研究所について

陸軍技術研究所は、日本陸軍における兵器研究と試験を担う重要な機関です。1942年10月に陸軍兵器機関が整理され、新たに陸軍兵器行政本部が設立されたことをきっかけに、この研究所は生まれました。それ以前から存在していた陸軍技術本部は廃止され、その下部組織として存在していた研究所が陸軍技術研究所として再編成されました。

歴史的背景

この新たな組織の形成は、戦時中に陸軍がより効率的に武器や技術の開発を進めるための一環でした。1943年には、複数の陸軍技術研究所と陸軍航空技術研究所の電波兵器研究部門が統合され、多摩陸軍技術研究所が新設されました。翌1945年5月には、各研究所長が陸軍航空本部長の指揮下に入るなど、組織の再編成が続きました。

各陸軍技術研究所の概要

第1陸軍技術研究所

• - 所在地: 東京都小金井市
• - 担当: 銃砲、弾薬、馬具
• - 所長: 村木竹雄、相馬癸八郎、桑田小四郎

この研究所は小金井町に位置し、銃火器や弾薬の研究を行いました。現在は運動施設や学校が建てられています。

第2陸軍技術研究所

• - 所在地: 小平市
• - 担当: 観測、指揮連絡兵器

観測技術や連絡システムの研究に特化した研究所で、戦後は学校や集合住宅に転用されています。

第3陸軍技術研究所

• - 所在地: 東京学芸大学
• - 担当: 工兵器材、爆破用火薬具

この研究所は工兵技術に関連する兵器を開発し、その跡地は教育機関として現在活用されています。

第4陸軍技術研究所

• - 所在地: 相模原市
• - 担当: 戦車、自動車

戦車や自動車の研究を行い、現在は基地として米軍に使用されています。

第5陸軍技術研究所

• - 所在地: 小平市
• - 担当: 通信兵器

当初は通信に関する兵器を担当していたが、1943年には電波兵器部門が多摩陸軍技術研究所に移管されました。

第6陸軍技術研究所

• - 所在地: 東京都健康安全研究センター
• - 担当: 化学兵器

特に化学兵器に関する研究が行われ、多くの技術が蓄積されました。

第7陸軍技術研究所

• - 所在地: 東京百人町
• - 担当: 物理的基礎研究

物理学に基づいた技術開発が進められました。

第8陸軍技術研究所

• - 所在地: 東京学芸大学
• - 担当: 兵器材料

兵器に用いる材料の研究が行われました。

第9陸軍技術研究所

• - 所在地: 長野県及び神奈川県
• - 担当: 秘密兵器、資材

通称「登戸研究所」として知られ、様々な秘密兵器や素材の研究が行われました。

第10陸軍技術研究所

• - 所在地: 兵庫県姫路市
• - 担当: 海運器財・燃料

新しく設立されたこの研究所は、海運関連の技術・資材の研究を行いました。

多摩陸軍技術研究所

1943年に設立され、電波兵器の専門的研究が行われました。その後も陸軍技術研究所の中心的な役割を果たし続けました。

参考文献

本考察には、歴史関連の文献を参照しましたが、詳細な資料は以下の通りです。

• - 秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』
• - 外山操編著『帝国陸軍編制総覧』
• - 原剛・安岡昭男編『日本陸海軍事典コンパクト版』

このように、陸軍技術研究所は日本の戦時体制の中で重要な役割を果たし、各地に設置された研究所が特定の分野に特化して研究を行い、戦後の技術基盤となることに寄与しました。

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