陸軍輜重兵学校

陸軍輜重兵学校

陸軍輜重兵学校は、大日本帝国陸軍の輜重兵科に関する専門教育と、輜重兵用兵器・資材の調査研究を目的とした教育機関でした。輜重兵監部の管轄下に置かれ、陸軍の兵站を支える重要な役割を担っていました。

概要

輜重兵学校は、輜重兵科の専門教育機関として、物資の輸送や補給に関する高度な知識と技能を将校や下士官に教育しました。また、輜重兵が使用する兵器や資材の研究開発も行っていました。特筆すべきは、日本における戦車（機甲部隊）研究の起源が、この輜重兵学校の前身である陸軍自動車学校の自動車部隊で始まったことです。自動車部隊での研究成果が、後の陸軍騎兵学校、陸軍歩兵学校での研究へと発展し、最終的には陸軍戦車学校の設立につながりました。

前身

1925年（大正14年）4月1日、輜重兵科における自動車輸送の研究・教育機関として、陸軍自動車学校が発足しました。これが輜重兵学校の前身となります。その後、1940年（昭和15年）9月15日に兵科が廃止され、新たな組織へと再編されることになります。

沿革

1940年（昭和15年）11月、陸軍自動車学校の輜重部隊養成部門が分離独立し、陸軍輜重兵学校として正式に発足しました。輜重兵科の専門教育機関として、陸軍の兵站を支える人材育成に貢献しました。しかし、1945年（昭和20年）8月15日、終戦を迎え、『大東亞戰爭終結ノ詔書』を拝受し、その歴史に幕を閉じました。

教育

輜重兵学校では、以下のような階級別の教育が行われていました。

佐官学生：部隊における陣中勤務や戦術に関する教育
甲種学生：佐官学生と同様の教育
乙種学生：輜重兵隊における通信と化学戦に関する教育
丙種学生：下士官を対象とした教育

学校施設

学校の施設は、満州に移駐した輜重兵第1連隊の跡地に設けられました。学校の西側には近衛輜重兵連隊が隣接しており、さらにその西側には近衛捜索連隊が配置されていました。これらの施設配置から、当時の陸軍における輜重兵科の重要性が伺えます。

人事

歴代校長

柴山兼四郎 少将（陸士24期）：1940年12月2日 - 1941年10月15日
物部長鉾 少将（陸士26期）：1941年10月15日 - 1942年7月9日
中村肇 大佐（陸士25期）：1942年7月9日 - 1944年11月22日（1943年8月2日に少将昇進、1944年7月8日より輜重兵監事務取扱兼務）
横山伊三郎 大佐（陸士26期）：1944年11月22日 - 1945年8月30日（閉校）

歴代幹事

中村肇 大佐（陸士25期）：1940年12月2日 - 1941年10月15日
小山嘉兵衛 大佐（陸士45期）： - 1945年8月30日（閉校）

教官

教導隊長：河合豊 中佐（陸士29期）：1941年3月1日 -
学校附：角和善助 大佐（陸士28期）：1941年7月12日 - 1942年2月3日
幹部候補生隊長：岩切義一 大佐（陸士26期）：1941年3月1日 -
下士官候補者隊長：富田貞義 中佐（陸士31期）：1941年3月1日 -

跡地

陸軍輜重兵学校の跡地には、現在、都立駒場高校、警視庁第三機動隊、駒場幼稚園が建てられています。かつての軍事施設は、戦後、教育施設や公共施設へと姿を変え、地域社会に貢献しています。

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