捜索連隊

捜索連隊とは

捜索連隊（そうさくれんたい）は、大日本帝国[[陸軍]]に存在した部隊の一つで、機動力を活かした偵察を主な任務とする部隊です。第二次世界大戦中、旧来の騎兵連隊に代わり、各師団隷下に配置されました。一部では「捜索隊」と呼ばれる編制もありましたが、本質的な任務は同様です。軍隊符号は「SO」で統一されていました。

編成の経緯

かつて、陸戦における偵察や伝令などの任務は騎兵が担っていました。しかし、機関銃の登場により、騎兵の戦闘能力には疑問が呈されるようになります。そこで、各国で騎兵部隊の機械化が進められました。

日本陸軍も、各師団に騎兵連隊を配置していましたが、機械化の研究を進め、1937年と1938年に新設された7個師団に捜索隊が編成されました。これは、騎兵連隊の一部を装甲車中隊に改編したものです。当初は「連隊」ではなく「隊」と称したのは、既存の騎兵連隊との番号重複を避けるためでした。

その後、新設師団の多くに捜索連隊が編成され、既存の騎兵連隊も順次捜索連隊へと改編されました。ただし、近衛騎兵連隊など一部は終戦まで騎兵連隊のまま残りました。また、戦車師団には通常より強力な師団捜索隊が加えられました。

特色と限界

捜索隊・捜索連隊は、装甲戦闘車両と自動車化歩兵を持つ、当時の日本陸軍では珍しい機械化部隊でした。特に、装甲車中隊に配備された九二式重[[装甲車]]などは、戦車兵以外が使える唯一の装甲戦闘車両であり、偵察だけでなく攻撃任務にも投入されました。

しかし、兵力の少なさや軽装甲車の非力さ、補給の限界から、苦戦を強いられることもありました。太平洋戦争初期には、機動力を活かして活躍しましたが、中期以降は島嶼戦が増えたため、その能力を十分に発揮できなくなりました。また、捜索連隊は攻勢作戦には適していましたが、防御戦には不向きであったため、解隊されるケースも多くありました。

基本編制

捜索連隊は、大隊を持たない小規模な連隊で、編制は時期や部隊によって大きく異なりました。以下は、基本的な編制類型です。

師団捜索隊: 1937～38年新設の師団に編成された部隊。乗馬中隊と装甲車中隊で構成されていました。
標準的な捜索連隊: 騎兵連隊から改編された部隊。乗馬中隊、乗車中隊、装甲車中隊で構成されました。中には機甲力を強化した部隊もありました。
関東軍特種演習で動員された捜索連隊: 乗馬中隊、乗車中隊、装甲車中隊、自動車中隊で構成されました。ただし、南方派遣時には馬匹や車両の随伴が制限され、徒歩編制となることがありました。
太平洋戦争・南方方面戦時編成の捜索連隊: 乗車中隊と装甲車中隊を2つずつ持つ部隊や、軽戦車中隊を保有する部隊も存在しました。自動二輪車隊が追加された例もあります。
戦車師団の師団捜索隊: 軽戦車中隊、乗車中隊、砲戦車中隊、整備中隊で構成されました。

戦例

ノモンハン事件: 第23師団捜索隊が投入されましたが、ソ連軍に包囲され全滅に近い損害を受けました。
ビルマの戦い: 捜索第56連隊が、進撃の先頭に立って活躍し、1400km以上を34日間で進撃しました。
レイテ島の戦い: 捜索第1連隊は、車両や馬を失い、徒歩での戦闘を強いられました。また、孤立した状況下での戦闘で多くの犠牲者を出しました。

部隊一覧

捜索連隊は、原則として連隊番号と同じ番号の師団に隷属しました。以下に、主な捜索連隊と捜索隊の一部を記載します。

近衛捜索連隊
捜索第1連隊
捜索第2連隊
捜索第4連隊
捜索第5連隊
捜索第7連隊
捜索第8連隊
捜索第10連隊
捜索第12連隊
捜索第14連隊
捜索第16連隊
捜索第19連隊
捜索第20連隊
捜索第23連隊
捜索第24連隊
捜索第30連隊
捜索第32連隊
捜索第33連隊
捜索第34連隊
捜索第35連隊
捜索第36連隊
捜索第37連隊
捜索第38連隊
捜索第39連隊
捜索第42連隊
捜索第43連隊
捜索第46連隊
捜索第48連隊
捜索第50連隊
捜索第51連隊
捜索第53連隊
捜索第54連隊
捜索第56連隊
捜索第57連隊
捜索第107連隊
捜索第119連隊
第15師団捜索隊
第17師団捜索隊
第21師団捜索隊
第22師団捜索隊
第23師団捜索隊
第26師団捜索隊
第27師団捜索隊
戦車第1師団捜索隊
戦車第2師団捜索隊
戦車第3師団捜索隊
* 独立混成第103旅団捜索隊

まとめ

捜索連隊は、日本陸軍の機械化を象徴する部隊でしたが、その運用には様々な限界がありました。しかし、その機動力と偵察能力は、戦局に大きな影響を与えたことも事実です。太平洋戦争後期には解隊が進み、その多くは戦車部隊へと吸収されていきました。

もう一度検索