陽だまり (村下孝蔵のアルバム)

村下孝蔵 『陽だまり』

『陽だまり』は、シンガーソングライター村下孝蔵が1987年にリリースした通算7枚目のオリジナル・アルバムです。同年10月21日にCBS・ソニーから発売されました。前作『恋路海岸』から約1年ぶりの発表となった本作は、村下孝蔵の新たな音楽的な方向性を模索する意欲的な作品として位置づけられています。

アルバム概要と特徴

本作の大きな特徴として、これまで村下孝蔵のほぼ全ての楽曲のアレンジを手掛けてきた水谷公生に加え、新たに遠山裕が編曲家として起用された点が挙げられます。これにより、従来の作品にはなかったサウンドの広がりが生まれています。村下孝蔵の抒情的なメロディや歌詞はそのままに、アレンジメントのバリエーションが増えたことで、アルバム全体の色彩が豊かになりました。

また、本作にはシングルとして発表された楽曲が2曲収録されています。アルバムと同名のタイトル曲である「陽だまり」と、中林由香とのデュエットソングである「哀愁物語 -哀愁にさようなら-」です。特に「哀愁物語 -哀愁にさようなら-」は、作詞家として著名な阿久悠が村下作品に初めて歌詞を提供した楽曲であり、村下孝蔵のディスコグラフィーにおいても特筆すべきコラボレーションと言えるでしょう。情感溢れる二人の歌声と阿久悠の紡ぐ言葉が見事に融合し、深い哀愁を帯びた楽曲に仕上がっています。

このアルバムは、その後の村下孝蔵の活動においても重要な位置を占める作品となり、1994年には多くの名盤が再リリースされた「CD選書」シリーズの一つとして復刻盤が登場し、再び注目を集めました。

収録曲

アルバム『陽だまり』には、村下孝蔵自身が全曲の作詞・作曲を手掛けていますが、「哀愁物語 -哀愁にさようなら-」のみ阿久悠が作詞を担当しています。編曲は水谷公生と遠山裕が分担しており、それぞれの個性が楽曲に反映されています。

以下に、アナログ盤のSIDE構成に沿った収録曲リストを記載します。

SIDE 1

1. 砂の女
- 編曲: 水谷公生
2. 夢からさめたら
- 編曲: 水谷公生
3. 白い花の咲く頃
- 編曲: 遠山裕
- シングル「陽だまり」のカップリング曲としても親しまれました。
4. 折り紙
- 編曲: 遠山裕
5. 珊瑚礁
- 編曲: 水谷公生

SIDE 2

1. 陽だまり
- 編曲: 水谷公生
- アルバムのタイトルにもなったシングル曲です。
2. 坂道から
- 編曲: 水谷公生
3. 哀愁物語 -哀愁にさようなら-
- 作詞: 阿久悠
- 編曲: 水谷公生
- 中林由香とのデュエットソングであり、阿久悠が作詞を手掛けた初の村下作品です。
4. 常緑樹
- 編曲: 遠山裕
5. 約束
- 編曲: 水谷公生

このアルバムは、村下孝蔵の持つ普遍的な歌世界を維持しつつ、新しいアレンジャーの起用や著名な作詞家との共作を通じて、その音楽性の幅を広げた作品であり、彼のキャリアにおける重要な節目の一つと言えるでしょう。

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