隅谷三喜男

隅谷三喜男について

隅谷三喜男（すみや みきお、1916年8月26日 - 2003年2月22日）は、日本の著名な経済学者であり、特に労働経済学の分野において重要な役割を果たした。彼は東京大学の名誉教授であり、中国の多くの大学でも名誉教授の称号を持つ。経済学博士としての彼の研究は、主に「日本賃労働史論」に焦点を当てている。

生い立ちと教育背景

隅谷は東京府（現在の東京都）麻布区に生まれ、東京府立第一中学校を卒業後、第一高等学校文科甲類に進学。学校では4年生時に洗礼を受けた。1937年には東京帝国大学経済学部に入学し、1941年に卒業することになるが、その過程において治安維持法違反で一時拘留されるなど、波乱に富んだ学生生活を送った。そして、卒業後の彼は満州の昭和製鋼所に勤務し、ここで五味川純平と出会い、満州労働問題の研究を開始した。

労働経済学の道

1946年に帰国した後、隅谷は東京大学にて教職に就き、労働問題に関する理論的および実証的な研究を進める。1947年に講師に就任し、その後助教授、教授に昇進。彼の研究は、戦後の日本の労働経済学において重要な基盤を築くこととなり、大学を退官した後も数多くの役職を歴任した。

社会貢献と評価

隅谷は教育者として、また研究者としてだけでなく、社会貢献にも尽力した。彼は成田空港問題解決に向けたシンポジウムを主催し、社会の改善に努めた。このような活動を通じて、彼は国際ボランティア学会の会員としても知られ、様々な社会問題に対して声を上げてきた。

また、彼は1978年から日本キリスト教海外医療協力会の会長として、慈善活動や医療支援に貢献している。多角的に活動した彼の功績は評価され、2001年にはキリスト教功労者として評価された。

著作と影響

隅谷の著作は多岐にわたり、『隅谷三喜男著作集』や『激動の時代を生きて―一社会科学者の回想』などが挙げられる。これらの著作は彼の思想や社会観を深く理解するための重要な資料となっている。また、「新しい歴史教科書をつくる会」に対する批判も彼の思想の表れのひとつであり、教育の在り方についても積極的に意見を述べていた。

隅谷三喜男は2003年に86歳で亡くなるが、その業績は今も日本の労働経済学だけでなく、社会全体に多大な影響を与え続けている。彼の生涯と研究は、多くの人々にとって模範となり、今後の世代へと引き継がれていくことだろう。

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