障害を持つアメリカ人法

アメリカ障害者法（ADA）とは

アメリカ障害者法（Americans with Disabilities Act of 1990：ADA）は、1990年に制定されたアメリカ合衆国の連邦法です。この法律は、障害を持つ人々に対する差別を禁止し、社会生活におけるあらゆる面で、障害者が障害を持たない人々と同じように機会を得られることを保証することを目的としています。ADAは、人種、肌の色、宗教、性別、出身国による差別を禁じた1964年の公民権法を補完するものであり、障害者も差別から保護されるべきという考えに基づいています。

ADAの概要

ADAは、大きく分けて以下の4つの主要な柱から構成されています。

1. Title I - Employment（雇用）：
15人以上の従業員を雇用する企業や公的機関に対し、障害を理由とした差別的な扱いを禁止しています。
雇用主は、障害を持つ従業員が職務を遂行できるよう、「合理的配慮」を提供する義務があります。
合理的配慮には、施設のバリアフリー化、補助器具の提供、勤務時間の調整、業務内容の変更などが含まれます。

2. Title II - Public Services（公共サービス）：
州や地方自治体などの公的機関が提供するサービスにおいて、障害を理由とした差別を禁止しています。
公共交通機関、公共施設、教育機関などが、障害者にとって利用しやすい環境を整備する義務があります。

3. Title III - Public Accommodations（公共施設での取扱い）：
レストラン、ホテル、店舗などの民間事業者が提供するサービスにおいて、障害を理由とした差別を禁止しています。
事業者は、障害を持つ人々が施設やサービスを利用できるよう、バリアフリー化や合理的配慮を行う必要があります。

4. Title IV - Telecommunications（電話通信）：
電話やインターネットなどの通信サービスにおいて、障害を持つ人々がアクセスできるよう、必要な措置を講じることを義務付けています。
聴覚障害者向けのテキスト電話サービスや、視覚障害者向けの音声読み上げサービスなどが含まれます。

ADA改正法

2008年には、ADA改正法が成立し、2009年から施行されました。この改正により、障害者の定義が拡大され、より多くの人々がADAの保護対象となりました。改正法は、ADAの適用範囲を明確化し、障害者の権利保護をさらに強化するものです。

ADAの意義

ADAは、障害者の社会参加を促進し、差別をなくすための重要な法律です。この法律によって、アメリカ社会における障害者の権利意識が大きく向上し、障害者差別に対する社会の認識を大きく変えました。ADAは、世界の障害者権利運動にも大きな影響を与え、多くの国々で障害者差別の撤廃に向けた取り組みが進められるきっかけとなりました。

参考文献

『アメリカ障害者法　全訳・原文』現代書館　1991年
八代英太『ADAの衝撃　障害をもつアメリカ人法』学宛社　1991年

関連項目

アクセシビリティ
ノーマライゼーション
障害者
障害者権利条約
人権

外部リンク

* AMERICANS WITH DISABILITIES ACT of 1990 - 条文（英語）

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