雁行形態論

雁行形態論について

雁行形態論は経済発展に関する理論で、赤松要によって1935年に提唱されました。当初は日本の羊毛工業の貿易動向に関する研究から出発し、戦前および戦後の長い間は注目されませんでしたが、1960年代に入り再び脚光を浴びるようになりました。

この理論は後発国が先進国に追いつくための発展のプロセスを示したものであり、一般には「雁行型経済発展論」などと呼ばれます。赤松の教え子、小島清がこの理論をさらに進展させ、より精緻な形に進めました。雁行形態論は、国の経済発展がどのように進行するか、またその過程での産業の変遷ことを理解するための重要な視点を提供してくれます。

第1モデル：一国の雁行発展

モデルの第一段階では、一国の中での産業の発展を図示しています。ここでは「基本型」と「副次型」の2つの側面を考慮します。基本型では、最初に低付加価値の消費財が輸入され、その後、国内で同様の商品が生産され始め、最終的には輸出されるような流れを説明します。例えば、布製品であれば、初めは輸入された布が流通しだし、その後自国でも生産され exportされるようになります。

副次型は、基本型が進化する中で現れるもので、低付加価値の生産財がまず輸入され、次にそれに基づいて高付加価値の生産財が開発されるプロセスを示しています。つまり、布を作るための機械も、同じく雁行形態の発展過程を辿るのです。このように雁行形態論は様々な産業を総合的に捉え、それぞれの段階での発展を描き出しています。

第2モデル：産業拠点の移転

次に、第二のモデルは産業の拠点移動を描いています。先進国が基本型や副次型を通して資本集約的な産業を発展させると、労働集約型の産業が相対的に劣位化し、その生産拠点が後発国に移転することが説明されます。この過程で、後発国の経済が成長を遂げていきます。

このモデルは、普遍的な産業の発展の流れでもあり、先進国が新たな市場として後発国に目を向ける背景にもつながります。企業のグローバル化が進む現代社会において、このモデルの重要性はますます高まっていると言えます。

第3モデル：世界経済全体の雁行発展

第三のモデルでは、世界全体の経済がどのように雁行形態に従って進化していくかを示しています。赤松は「世界経済の同質化と異質化」という観点からこの理論を発展させました。後発国がキャッチアップをしている状況では第1と第2モデルが機能する一方、先進国が新たな革新を持たない場合は、経済全体が同質化し危機的な状態になることがあります。

歴史的には、パクス・ブリタニカの時代においてはイギリスの技術革新によって多様な産業が発展し、世界は異質化の方向に進んでいました。しかし、戦間期には経済の同質化が進み、世界恐慌や関税競争といった危機に直面しました。このように、経済の多様性を保つために国際社会の協力が重要であることが示唆されています。

結論

雁行形態論は経済発展の過程を解明し、後発国がどのように成長していくかを描写した理論です。赤松及び小島が提唱したコンセプトは、現代のグローバルな経済環境においてもその重要性を持ち続けています。

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