雄冬海運

雄冬海運株式会社の歴史

雄冬海運株式会社は、北海道の増毛町に本社を構え、地元の雄冬と増毛を結ぶ海上交通を提供していた海運会社です。その設立は1957年にさかのぼり、地域の住民が出資して創立されました。設立当初は自社の船舶を持っておらず、他の業者から船を借り受け、さらには個人が所有する漁船も運航に使用されました。

航路の誕生と新船の導入

1959年、北海道離島航路整備株式会社と国内旅客船公団の合同により、新たに建造された木造貨客船「おふゆ丸」が就航しました。この船により、雄冬と増毛の間での通年運航が実現します。しかし、「おふゆ丸」は33総トンという小型船で、厳しい航海条件にさらされることになります。そのため、1968年に両島運輸の「第二天羽丸」が譲渡された後、「新おふゆ丸」と改名して就航し、「おふゆ丸」と入れ替わる形となりました。

陸の孤島解消への道

1953年に制定された国道231号のルートは、雄冬を含む厚田と増毛の間が交通不能区間でした。このため、地域住民の利便性を考慮して、1958年から増毛側の工事が開始されました。その後、1973年には歩古丹から大別苅までの12kmが開通し、1980年には雄冬と歩古丹間の道路もつながることになります。これにより、長い間「陸の孤島」とされていた雄冬が、ようやく増毛や留萌と道路を通じて結ばれることとなりました。

それでも、開通した道路は険しい山道が多く、冬季には通行止めになることがありました。このため、雄冬海運の航路の重要性は依然として高いものでした。ただし、夏季は増毛町によって無償の医療バスが運行されるようになり、雄冬への医師の派遣が一時中止されたりもしました。

国道全通と航路の廃止

1981年には浜益側の工事も完成し国道231号が全通しましたが、その後すぐに雄冬岬トンネルでの崩落事故が発生し、復旧作業が続きました。1984年まで期間的に仮道が開放され、その後は本来の道路が再開通しました。しかし、海象の厳しい航路の利用が敬遠される傾向が強まり、1983年には沿岸バスが別苅雄冬線を運行し始めると、増毛町の医療バスは運行を終了しました。

1992年、雄冬海運は最後の航海を行い、その航路は正式に廃止されました。この年の10月、大別苅から歩古丹にかけて新道が開通し、雄冬と増毛をつなぐ通年通行ルートが確保されることとなり、地域の交通事情は大きく変わりました。

航路の概要

雄冬海運が運航していた航路の一つは、増毛から雄冬までのもので、距離は26km、所要時間は約1時間15分でした。夏季には多客期に応じて一日に2往復の運航もありました。また、他に雄冬と浜益を結ぶ観光航路も存在しましたが、こちらは1971年に廃止されています。

使用されていた船舶

航路開設当初は「おふゆ丸」が就航していました。この船は1959年に進水し、33.30トンの木造船として、デザインには当時の技術が生かされていました。後に就航した「新おふゆ丸」は、78.33トンの鋼製船で、定員80名という多くの乗客を受け入れることができました。さらに、季節運航の浜益航路には「幸進丸」が用いられ、地元の交通に重要な役割を果たしていました。

雄冬海運株式会社は、地域連携と輸送の歴史において重要な存在であり、その影響は長年にわたり、地域社会に根付いていました。

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