雄黄

雄黄（ゆうおう）について

雄黄は、化学名をorpimentとし、ヒ素の硫化鉱物として知られています。この鉱物は、別名「石黄」とも呼ばれ、化学組成はAs2S3であり、単斜晶系に属します。雄黄の比重は3.5、モース硬度は2と、比較的柔らかい特性を持ちます。

用途と歴史

中世の時代から雄黄は黄色顔料として広く使われ、特に美術において重要な役割を果たしました。各地で産出されるものの、その毒性から現代では使用が減少しています。高純度の雄黄は、鮮やかなレモン色を呈し、一般的には橙黄色から黄褐色の色合いをもっています。古代の絵画技法においては、ズームインされた部分に粗い粒子状の雄黄が使用され、現在にもその豊かな黄色が保たれています。

雄黄はプリニウスやウィトルウィウスといった古代の著述家によっても言及されており、古典時代から利用され続けてきました。また、近年の美術作品にも見られ、ティツィアーノの「バッカスとアリアドネ」（1520〜1523年）などにおける雄黄の使用は特に印象的です。ただし、近代においてはその毒性のため、利用されることはほとんどありません。

鉱物としての確認

中医学では、雄黄は解毒剤や抗炎症剤として利用されていますが、鶏冠石との間で混乱が見られることがあります。日本語では雄黄がorpimentを指し、逆に鶏冠石は「雄黄」と呼ばれる傾向がありますが、中国語では鶏冠石を「雄黄」、orpimentを「雌黄」と呼ぶため、言語による違いにも注意が必要です。

毒性と取り扱い

雄黄の毒性は主にヒ素に起因していますが、特に水溶性が高いため、単体のヒ素よりも扱いが難しいとされています。劇物とは言われていませんが、人体への影響は非常に強く、法律でも毒物として指定されています。そのため、取り扱いには十分な注意が必要です。例えば、保護眼鏡、手袋、マスクを着用し、粉塵を吸い込まないよう気を付ける必要があります。

保存には特別な容器を使用し、飲食を行う場所には持ち込まないことが推奨されます。また、雄黄が環境に漏れることを防ぐため、容器外への飛散を厳重に注意する必要があります。これらの取り扱いの注意事項は、健康を保つためにも重要です。

脚注と関連項目

雄黄に関連する項目としては、硫化鉱物や鉱物の一覧、鶏冠石などがあります。さらに、以下の文献にも詳しい情報が掲載されています：

• - 『絵画技術入門―テンペラ絵具と油絵具による混合技法(新技法シリーズ)』 佐藤 一郎 著 美術出版社 1988.11
• - 『絵画材料事典』 ラザフォード・J・ゲッテンス・ジョージ・L・スタウト著 森田恒之訳 美術出版社 1999.6
• - 松原聰　『フィールドベスト図鑑15 日本の鉱物』　学習研究社、2003年。

雄黄は、その美しい色合いゆえに過去には高く評価されていましたが、現代においてはその毒性から注意が必要な鉱物となっています。

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