集中と統一

集中と統一（CiU）: カタルーニャ民族主義政党連合の興亡

集中と統一（Convergència i Unió、CiU）は、スペイン・カタルーニャ州において1978年から2015年まで存在したカタルーニャ民族主義政党連合です。リベラル中道主義のカタルーニャ民主集中（CDC）とキリスト教民主主義のカタルーニャ民主連合（UDC）の2党から構成され、カタルーニャの政治に大きな影響を与えました。

ジョルディ・プジョル時代と中央政府との関係 (1980-2003年)

1980年から2003年にかけて、ジョルディ・プジョル率いるCiUはカタルーニャ州政府を長年掌握しました。この期間、CiUはスペイン中央政府に対して協力的な姿勢を示し、アドルフォ・スアレス政権からフェリーペ・ゴンサーレス政権、ホセ・マリア・アスナール政権と渡り合いました。プジョルは、スペインにおける自治州制度の構築に重要な役割を果たした人物としても知られています。プジョルの自治に関する考え方は、中央政府との協力とカタルーニャの自治権拡大のバランスの上に成り立っていました。しかし、この時代も、CiUが議会第一党であったものの、得票数ではカタルーニャ社会主義者党（PSC）が上回る選挙結果も出ていました。

アルトゥール・マスの台頭と野党時代 (2003-2010年)

2001年、プジョルの後継者としてアルトゥール・マスがCiUのリーダーシップを握り始めました。この交代は党内における権力闘争を招き、CiU内部の緊張を高めました。2003年の選挙では、CiUはカタルーニャ社会主義者党（PSC）、カタルーニャ共和主義左翼（ERC）、カタルーニャ緑のためのイニシアティブ＝アスケーラ・ウニーダ・イ・アルタルナティーバ（ICV-EUiA）の3党による連立政権に敗れ、23年間続いたCiU政権は終焉しました。2006年の選挙でもこの状況は変わらず、CiUは野党の座にとどまりました。この野党時代には「3%問題」と呼ばれる一大騒動も発生し、CiUは新たな自治憲章案への支持を得るために、この問題への対応に苦慮しました。

独立運動への転換と政権復帰 (2010-2015年)

2010年の州議会選挙でCiUは大勝し、政権に返り咲きました。しかし、経済状況の悪化や中央政府との関係悪化を背景に、マスとCDCはカタルーニャ独立への道を歩み始めます。この政策転換には、CiUが関与したとされる汚職や不正資金問題から世間の注目をそらす狙いもあったと指摘されています。2012年9月11日には大規模な独立デモが行われ、マスはカタルーニャ独立に向けた選挙の実施を決定、州議会を解散しました。しかし、この戦略は裏目に回り、CiUは前回の選挙結果を下回る議席数しか獲得できませんでした。マス自身も、選挙前後の混乱に対する責任を追及される事態となりました。

党内対立とCiUの解体 (2015年)

2015年には、UDCとCDCの間で独立プロセスへの対応をめぐり深刻な対立が発生しました。UDCは独立プロセスへの参加に条件を付け、一方的な独立宣言には反対する姿勢を示しました。しかし、CDCはERCなど他の機関と独立に向けた工程表に合意していました。この対立は、UDCのカタルーニャ自治政府閣僚の辞任、そして最終的にCiUの解体という結果につながりました。CiUは2015年、カタルーニャ州議会選挙において別々の候補として選挙戦を戦うことを決定し、長きに渡るカタルーニャの政治舞台からその姿を消しました。

まとめ

集中と統一(CiU)は、カタルーニャの政治史において重要な役割を果たした政党連合でした。ジョルディ・プジョル時代にはカタルーニャの自治拡大と中央政府との協力関係を築き、アルトゥール・マス時代にはカタルーニャ独立運動の中心に位置づけられました。しかし、内部対立やスキャンダル、独立に向けた戦略の失敗などが重なり、最終的には解体という結末を迎えることとなりました。CiUの興亡は、カタルーニャの政治的複雑さと、民族主義、独立運動、そして党内抗争といった要素が絡み合った歴史を示す重要な事例となっています。

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