集水井

集水井（しゅうすいせい）とは

集水井は、地下水を効率的に集めるために作られた井戸の一種です。垂直に掘られた立坑と、そこから水平方向に伸びる集水孔（集水管）で構成されています。別名、満州井戸とも呼ばれます。

歴史

集水井は、第二次世界大戦以前に、中国東北部（旧満州）で水不足に苦しむ地域のために、清水本之助によって考案されました。当時の満州では、効率的に伏流水を集める必要があり、立坑から放射状に集水管を配置する構造が採用されました。これにより、広範囲の地下水を効率的に集めることが可能となり、水不足の解消に大きく貢献しました。

戦後、日本では、この集水井の技術が地下ダムからの農業用水の汲み上げに用いられるようになりました。また、地すべりの原因となる地下水の排水にも活用され、地すべり対策に重要な役割を果たしています。

地すべり防止工における集水井

地すべり防止工における集水井は、地すべりを誘発する地下水を排除するために重要な役割を担います。この場合の集水井は、以下のような手順で構築されます。

1. 立坑の掘削: まず、重機（ショベルカーやクレーンなど）を使用して地盤を掘り下げます。この際、掘削した箇所が崩れないように、ライナープレートで周囲を補強しながら作業を進めます。
2. 立坑の拡張: 井戸の直径は、井戸の中で重機が安全に作業できる大きさを確保します。これにより、掘削作業や排土作業を効率的に行うことが可能となります。
3. 排水ボーリング: 効率的な排水を可能にする深さまで掘り下げた後、底部から外部へ排水用の横ボーリングを行います。さらに、立坑の壁面から地すべり面付近の帯水層に向けて、扇形に多数の横ボーリングを打ち込みます。これにより、広範囲の地下水を効率的に集めることができます。
4. 仕上げ: 完成した集水井の上部には、安全のため転落防止用の蓋が設置されます。

集水井の役割

集水井は、地下水を集めるだけでなく、地すべり防止にも大きく貢献します。地すべりは、地下水が地盤に浸透し、土壌の強度を低下させることで発生します。集水井によって地下水を排除することで、地盤の安定性を高め、地すべりの発生を抑制することができます。

集水井は、その構造や設置場所に応じて、さまざまな形状や規模で利用されます。地下水を利用するための重要な施設であり、農業用水の確保や災害対策に役立つ、重要な技術と言えるでしょう。

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