雑物

雑物（ぞうもつ）とは

雑物とは、米や布以外の物資、具体的には野菜、紙、塩、鉄などの様々な品物、あるいはそれらを徴収するために設けられた税のことを指します。

律令制における雑物

律令制においては、税制の一環として、調の一部に鉄や鍬、塩、水産物などが雑物として課せられました。また、庸の代替として、米や布に加えて、塩などの雑物を納めることも認められていました。これらは「調庸雑物」と呼ばれ、税制における重要な要素でした。

さらに、交易雑物、年料別貢雑物、年料雑薬、年料雑器といった名目でも雑物が徴収されていました。これらはまとめて「例進雑物」とも呼ばれていました。

『延喜式』民部省式では、庸調や雑米以外の税目で、都に送られる様々な品目を「雑物」と定義しています。このことから、雑物が多岐にわたる品目を指していたことがわかります。

荘園制における雑物

荘園制においては、年貢とは別に、雑公事や万雑公事といった名目で、多種多様な雑物が徴収されました。その種類は、野菜、紙、水産物、藁、餅、酒、油、薪、漆、秣など、多岐にわたっていました。これらの雑物は、荘園領主の経済基盤を支える重要な要素となっていました。

雑物の役割

雑物は、律令制や荘園制において、税として徴収されることで、国家や荘園の財政を支える役割を果たしました。また、様々な物資が流通することで、経済活動を活性化させる側面も持っていました。雑物の種類は、時代や地域によって異なり、その社会や経済状況を反映していました。

まとめ

雑物は、米や布以外の様々な物資を指し、税としても徴収された重要な概念です。律令制や荘園制において、多種多様な品物が雑物として徴収され、社会や経済を支える役割を果たしていました。雑物の研究は、当時の社会や経済状況を理解する上で、不可欠な要素と言えるでしょう。

参考文献
佐藤信「雑物」（『平安時代史事典』角川書店、1994年） ISBN 978-4-04-031700-7

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