離宮八幡宮

離宮八幡宮：製油発祥の地と歴史の重み

離宮八幡宮は、京都府乙訓郡大山崎町に位置する由緒ある神社です。石清水八幡宮の起源に深く関わり、日本における製油発祥の地としても知られています。長い歴史の中で幾多の変遷を遂げ、現在も多くの参拝者を集めています。

歴史の舞台：創建から現代まで

社伝によれば、離宮八幡宮の創建は貞観元年(859年)に遡ります。清和天皇の神託により、宇佐八幡宮から八幡神を勧請、平安京の守護神として祀ろうとする計画の中で、山崎の地に霊光が差したと伝えられています。しかし、翌年には男山に遷宮され、現在の石清水八幡宮が創建されます。それでも、最初に神が降り立った地として、山崎の社は「石清水八幡宮」として存続することとなります。その後、嵯峨天皇の離宮「河陽離宮」があったこの地から、「離宮八幡宮」という別名も用いられるようになりました。

創建時期に関しては諸説あり、定説はまだありません。一方で、貞観年間には神官が神示を受けて荏胡麻油の製造方法を発明、日本における製油発祥の地としての歴史が始まりました。朝廷から「油祖」の称号を賜り、鎌倉時代には全国の荏胡麻油販売権を独占するまでに栄えました。しかし、戦国時代の楽市楽座政策により経済的な打撃を受けます。

江戸時代前期には、徳川家光の命により社殿が再建され、「西の日光」と称されるほどの規模を誇りました。しかし、菜種油の普及により荏胡麻油の需要が減少し、次第に衰退していきます。石清水八幡宮との社号を巡る争いにも敗れ、「離宮八幡宮」を正式名称とすることとなりました。

明治時代には神仏分離令や鉄道建設により境内が縮小。禁門の変では長州藩の屯所となり、焼失の危機も経験しました。その後、社殿は再建され、現在に至っています。

境内と文化財

離宮八幡宮の境内には、本殿、拝殿、中門など、数多くの建造物が残されています。これらは国登録有形文化財に指定されており、歴史的価値の高さが認められています。その他にも、石清水の井戸、多宝塔跡、天神腰掛石など、歴史を感じさせる遺構が点在しています。また、摂末社として若宮社、武内社、天照皇太神社など、複数の社が境内内に祀られています。

境内には、本邦製油発祥地碑や油祖像など、製油の歴史を伝える建造物も存在します。これらの建造物は、離宮八幡宮が製油発祥の地として重要な役割を果たしてきたことを物語っています。

祭事

離宮八幡宮では、年間を通して様々な祭事が行われています。主な祭事としては、4月3日の日使頭祭と、9月15日の例祭があります。これらの祭事は、地域住民にとって重要な行事となっています。

アクセスと周辺環境

離宮八幡宮へのアクセスは良好です。阪急京都線大山崎駅、JR京都線山崎駅から徒歩数分の距離に位置しています。周辺には、関大明神社、妙喜庵、アサヒビール大山崎山荘美術館など、歴史的建造物や観光スポットが数多く存在し、観光の拠点としても最適な場所です。

まとめ

離宮八幡宮は、長い歴史と数々の出来事を刻んできた神社です。製油発祥の地としての歴史、石清水八幡宮との関わり、そして近世における栄華と衰退など、多くの物語を秘めています。歴史的建造物や豊かな自然に囲まれた境内は、訪れる者に静寂と歴史の重みを感じさせ、深く心を打つ場所です。

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