離岸堤

離岸堤について

離岸堤（りがんてい、英語: detached breakwater）は、海岸から沖合に設けられた堤防状の構造物で、主に海岸の侵食を防ぐために使用されます。日本では「ヘッドランド」とも呼ばれることがありますが、離岸堤式と突堤式のヘッドランド工法には違いがあるため、注意が必要です。特にT字形の構造は「Tバー」として知られ、その代表例には皆生海岸の離岸堤などがあります。

機能と効果

離岸堤の主な目的は、沖合から押し寄せる波の力を緩和し、海岸での浸食を防ぐことです。これにより砂が堆積しやすくなり、自然の砂浜を保護する役割を果たしています。簡易な防波堤とも言えますが、波の力を完全に抑えることを目的としていないため、防波堤のように強固な構造は持ちません。

離岸堤の内側には通常、波が穏やかな水域ができますが、実際には沖に向かって強力な離岸流が発生しやすいという特徴があります。このため、泳ぐには危険な場合もあるため、注意が必要です。

計画と設置条件

離岸堤は、一般的に海岸線に平行に設置され、沖合約100メートル、水深2から5メートル程度の場所に配置されます。標準的なサイズは、幅約10メートル、長さ約100メートルの島状の構造物ですが、設置にあたっては周辺の海底地形や潮流の方向、その他さまざまな条件を考慮する必要があります。そのため、特定の法則に従うのではなく、周辺の成功事例を参考にしながら設計が行われます。

建設方法

離岸堤の構造は、まずは海底から2メートル程度の高さで捨て石などを用いて土台を築き、その上に消波ブロックを積み重ねていく形になります。ブロックの頂上が海面下に沈む構造の場合は「人工リーフ」または「潜堤」とも呼ばれることがあります。

日本における離岸堤の導入

日本で初めて離岸堤が採用されたのは、新潟市の西海岸公園沖合でした。それ以来、各地でこの構造物の設置が進められています。離岸堤の設置は、浸食に対する効果的な対策としても認知されており、多くの地域で自然環境の保全の一環として活用されています。

関連知識

離岸堤に関連する用語としては、海岸侵食、砂浜、波、突堤（離岸堤と異なり、海岸線と直交方向に設置される構造物）、さらには養浜などがあります。これらは、海岸の保護および環境管理において重要な知識となります。日本では近年、気候変動の影響もあり、こうした構造物の重要性が一層高まっています。

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