突堤

突堤（Jetty）について

突堤とは、海岸線から直角方向に海へ向かって建設される構造物です。この記事では、海岸侵食を防ぐための突堤について焦点を当てて解説します。ただし、港湾の入り口付近に設けられる長い防波堤や埠頭も、広義には突堤と呼ばれることがあります。

突堤の機能と効果

突堤は、主に以下の効果を発揮します。

海浜流の制御: 海岸に平行に発生する海水の流れを調整します。
海岸侵食の抑制: 砂浜の流出を防ぎ、侵食を食い止めます。
漂砂の捕獲: 海流によって運ばれる砂を堆積させ、砂浜を維持・拡大します。
養浜への利用: 人工的に砂浜を造成する養浜の手段としても活用されます。

突堤設置の注意点

大規模な突堤を単独で建設する場合、その効果が特定の場所に集中し、突堤から離れた場所で海岸線の侵食が進行する可能性があります。そのため、突堤の長さ、間隔、基数などの最終的な決定は、工事の進捗状況を注意深く観察しながら慎重に行う必要があります。

突堤の設計における課題

突堤の効果的な設置方法は、風向、潮流、海底地形など、さまざまな要因に左右されるため、確立された法則は存在しません。そのため、現状では経験則に頼らざるを得ない部分が多く残されています。

突堤の構造

突堤の構造は、海水の移動をどの程度制限するかによって、不透過型と透過型に大別されます。

不透過型: 海水の移動を遮断する構造で、コンクリートブロックや鋼矢板などが用いられます。
透過型: 海水の移動をある程度許容する構造で、消波ブロック、杭、捨石などを組み合わせて造られます。

まとめ

突堤は、海岸線の保全において重要な役割を果たす構造物です。しかし、その設置には、周辺環境への影響を考慮した慎重な計画と、状況に応じた柔軟な対応が求められます。今後の研究によって、より効果的かつ環境に配慮した突堤の設計・建設技術が確立されることが期待されます。

参考文献

堀川清司『新編　海岸工学』東京大学出版

関連項目

白砂青松
離岸堤
防波堤

もう一度検索