養浜

養浜：砂浜を再生する技術

養浜（ようひん）とは、浸食が進んだ海岸線に砂を運び込み、砂浜を造成する技術のことです。自然環境の保護や観光資源の維持を目的として行われます。

養浜の歴史

養浜の歴史は古く、1950年代のアメリカ、ワイキキビーチに遡ります。観光客誘致のため、カリフォルニアから白い砂を運び込み、美しい砂浜を作り出しました。日本においては、1960年代以降のダム建設や河川改修により、海への砂の供給が減少し、海岸浸食が深刻化しました。1990年代以降、海水浴場を中心に養浜が積極的に行われるようになっています。

養浜の手法

養浜の方法はいくつか存在します。

砂の移送: 近くの砂浜から砂を運び込む方法です。手軽に行えますが、根本的な解決にはなりません。
突堤の設置: 海岸線から直角に沖合へ消波ブロックを設置し、潮流を制御します。
離岸堤の設置: 海岸線と平行に消波ブロックを設置し、波の力を弱めます。
サンドバイパス: 海水とともに砂を吸い上げ、パイプを通して移動させる最新技術です。天橋立や遠州灘などで導入されています。

養浜の効果と課題

養浜は、砂浜の回復、高潮や津波からの防御、景観の改善など、様々な効果をもたらします。しかし、養浜には以下のような課題も存在します。

費用: 養浜には多額の費用がかかります。
環境への影響: 砂の採取場所や工事方法によっては、周辺環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
持続性: 養浜によって作られた砂浜も、時間とともに浸食される可能性があります。

養浜と関連技術

養浜は、海岸工学や環境工学など、様々な分野の知識や技術を必要とします。養浜と関連する技術としては、以下のようなものが挙げられます。

白砂青松: 養浜によって再生された美しい砂浜と松林。
海岸法: 海岸の保全や利用に関する法律。
パイプライン輸送: サンドバイパスで用いられる砂の輸送技術。
海浜流: 海岸付近の砂の移動現象。

まとめ

養浜は、海岸環境を保全し、人々の生活を守るための重要な技術です。持続可能な社会の実現に向けて、環境に配慮した養浜技術の開発が求められています。

参考文献

天竜川の砂で「養浜」、県が今秋工事（朝日新聞マイタウン静岡：2009年10月10日）
（財）土木研究センター：なぎさ総合研究室著「実務者のための養浜マニュアル」
日本の海紀行　蘇る天橋立 － サンドバイパス工法

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