離断性骨軟骨炎

離断性骨軟骨炎とは

離断性骨軟骨炎（Osteochondritis dissecans: OCD）は、骨端症の一種で、関節を構成する骨と軟骨が部分的に剥がれてしまう病気です。主に肘関節、股関節、膝関節に発生し、野球肘やテニス肘もこの疾患に含まれます。

好発部位と原因

10代の男性に多く見られますが、高年齢者や小児にも発症することがあります。特に多いのが膝関節の大腿骨顆間窩内側顆部分で、肘関節では上腕骨小頭部に多く発生します。跳躍を伴う競技を行う選手に多く見られることから、スポーツ外傷や循環器障害が原因と考えられています。

症状

初期には運動時の軽い痛みを感じることが一般的です。しかし、病状が進行し、剥がれた骨軟骨片が関節内を動き回るようになると、関節炎を引き起こし、痛みが強くなります。また、関節の可動域が制限され、特定の角度で関節が動かなくなるロッキングという状態になることもあります。肘関節では、野球肘、ゴルフ肘、テニス肘として知られる上腕骨外側上顆炎、上腕骨内側上顆炎も離断性骨軟骨炎の一種です。

診断

X線検査では、関節面に一致して円形または楕円形の透明な像が確認でき、内部に骨硬化像が見られることが特徴です。この骨硬化像は、後に遊離体となる骨軟骨片です。

治療

治療法は病状の程度によって異なります。初期には、安静や固定による経過観察が行われます。症状が改善しない場合や、病巣が大きい場合は、手術で病巣部を摘出し、骨移植を行うことがあります。また、小範囲の病巣であれば切除のみで済む場合もあります。関節鏡を用いた穿孔術も有効な治療法の一つです。

近年では、再生医療技術も活用されています。自家培養軟骨を用いた治療法が開発されており、膝関節の離断性骨軟骨炎に対する医療機器としても承認されています。

関節遊離体（関節ネズミ）

離断性骨軟骨炎が進行すると、剥がれた骨軟骨片が関節内を遊離する関節遊離体（別名：関節ネズミ）となることがあります。関節遊離体は米粒のような形をしており、中心部に石灰沈着や骨化が見られることがあります。関節遊離体は、野球肘、ゴルフ肘、テニス肘が進行した場合にも見られます。他にも、滑膜骨軟骨腫症、変形性関節症、神経病性関節症、骨軟骨骨折、結核性関節炎などでも発生する可能性があります。

関節遊離体は、関節内で動き回ることで、突然の激しい関節痛や可動域制限を引き起こすことがあります。特に、関節面に挟まってしまう嵌頓という状態になると、痛みが強くなります。X線検査で骨組織を含む遊離体は確認できますが、他の場合には陰性となるため、二重関節造影などの検査が必要となる場合があります。

症状が悪化すると

離断性骨軟骨炎を放置すると、変形性関節症に移行するリスクがあります。早期発見と適切な治療が重要です。

参考資料

『南山堂医学大辞典』 19版、南山堂、2006年3月10日。

関連情報

人間の関節一覧
* 変形性膝関節症

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