離職率

離職率とは

離職率とは、一定期間に職を離れる労働者の割合を示す指標です。英語では「employee turnover」や「employee churn rate」と表現されます。この指標は、労働者がどれだけ定着しているか、あるいは入れ替わりが激しいかを測る上で重要です。離職率が高い場合は、労働者がその職場に定着しにくい状態であることを示唆し、逆に低い場合は、労働者の定着性が高いことを示します。

ただし、離職率の定義や計算方法は、目的や統計データによって異なるため、異なる主体が公表する離職率を単純に比較することはできません。

離職率と対になる指標として、定着率があります。これは、一定期間に職場に残り続ける労働者の割合を示すもので、離職率と合わせて労働者の動向を把握する上で役立ちます。

企業における離職率

企業における離職率は、一定期間にその企業を離職した従業員の割合を指します。一般的には、期首の在籍者数を分母とし、一定期間の離職者数を分子として計算されます。しかし、新入社員や中途入社者など、対象とする従業員の属性や期間によって計算方法が異なる場合があります。

離職率から読み取れること

離職率は、企業の労働環境を評価する上で重要な指標です。就職希望者は、企業の離職率を参考に労働環境を判断する傾向があります。また、内定者も離職率について質問することが多く、企業にとっても無視できない指標です。

一般的に、短期間で成果を求められる仕事は離職率が高く、長期的な技術蓄積が必要な仕事は離職率が低い傾向があります。しかし、離職率が低い場合でも、人材の流動性が低いことで組織が硬直化している可能性も考慮する必要があります。

業種別の離職率

雑誌『東洋経済』の調査によると、鉱業、ゴム製品、電気・ガス、空運業、石油・石炭製品、非鉄金属、ガラス・土石製品、精密機器は離職率が低い一方で、小売業、倉庫・運輸関連業、サービス業、不動産業、パルプ・紙、証券・先物取引などの非製造業は離職率が高い傾向があります。

特に非製造業の離職率が高い背景には、人手不足や労働負担の増加といった構造的な問題があると考えられます。また、リストラなどの人員削減によって離職率が上昇することもあります。

労働市場における離職率

日本では、厚生労働省が労働市場の動向を把握するために離職率を公表しています。雇用動向調査では、「年初の常用労働者数に対する離職者数の割合」と定義されています。また、毎月勤労統計調査では、事業所間の異動も含めた労働者の増減を、前月末の労働者数で割った値として入職率・離職率を算出しています。

これらの調査は、抽出調査に基づいており、離職率の計算は推計値に基づいている点に注意が必要です。厚生労働省は、新規学卒者の離職状況に関する統計も公表していますが、これも推計値となっています。

関連情報

離職率を考える上で、関連するキーワードとして以下のようなものが挙げられます。

大企業病
ブラック企業
学歴社会
就職率

これらの要素も、離職率に影響を与える可能性があるため、合わせて理解しておくことが重要です。

まとめ

離職率は、企業の労働環境や労働市場の動向を測る上で重要な指標です。離職率を正しく理解し、その背景にある要因を分析することで、より良い労働環境の構築や人材の定着促進に繋げることができます。

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