難治性疾患克服研究事業

難治性疾患克服研究事業について

難治性疾患克服研究事業は、厚生労働省が主導する研究事業であり、「症例数が少なく、原因が不明確で、有効な治療法が確立しておらず、患者の生活に長期的な支障をきたす疾患」を対象としています。この事業は、難病の克服を目指し、その原因究明、治療法の開発、そして患者のQOL向上に貢献することを目的としています。

事業の沿革

この事業は、1972年（昭和47年）に「特定疾患調査研究事業」として始まりました。当初は、特定の疾患に対する調査研究が中心でしたが、その後、研究体制や対象疾患の範囲が拡大されてきました。

1972年: 特定疾患調査研究事業として開始。
1998年: 公募制による重点研究が開始され、より競争的な研究体制が導入されました。
1999年: 厚生科学研究の中に位置づけられ、他の分野との一体的な研究や、公募による課題選択といった競争的な研究が推進されるようになりました。また、事業名称が「特定疾患対策研究事業」に改称されました。
2003年: 組織改編が行われ、事業名称が現在の「難治性疾患克服研究事業」に改称されました。
2009年: 研究奨励分野が設置され、臨床調査研究分野130疾患以外にも、これまで組織的な研究が行われていなかった疾患に対して、患者の実態把握や病態解明を目的とした研究が開始されました。

臨床調査研究分野

現在、130疾患が臨床調査研究分野として指定されており、それぞれの疾患に対して研究班が設けられています。これらの研究班では、疾患の原因究明、治療法確立を目指した臨床的な研究が行われています。患者の年齢、性別、地域といった実態を把握することで、より効果的な治療法や対症療法の開発が進められています。

臨床調査研究分野は、疾患系統別に研究班が構成されており、各研究班では毎年重点的に研究する疾患が設定されています。これにより、効率的な研究活動が推進されています。

研究分野

難治性疾患克服研究事業では、以下のような研究分野が設定されています。

横断的研究分野: 幅広い視点から難病研究を推進するための分野。
基盤研究: 基礎医学的なアプローチから難病のメカニズムを解明する分野。
社会医学研究: 社会的側面から難病患者を支援するための研究を行う分野。
生体試料等の収集に関する研究: 研究に不可欠な生体試料の収集や管理に関する研究を行う分野。
重点研究分野: 特に重要な課題に対して重点的に研究を行う分野。
研究奨励分野: 臨床調査研究分野130疾患以外の疾患を対象とする分野（2009年時点では48疾患）。

難治性疾患克服研究事業の対象疾患

難治性疾患克服研究事業の対象となる疾患は、主に臨床調査研究分野の130疾患ですが、研究奨励分野では、それ以外の48疾患（2009年時点）も対象となっています。ただし、厚生労働省による原因究明や治療法などの研究が行われるものの、患者自己負担分が国の公費で負担されるのは、特定疾患治療研究事業の対象疾患のみとなっています。

関連情報

公費負担医療: 難病患者の医療費負担を軽減する制度。
特定疾患: 国が指定する難病。特定疾患治療研究事業の対象となる。
難病対策: 難病患者への支援策全般。

外部リンク

* 厚生労働省難治性疾患克服研究（臨床調査研究分野など）に関する情報 - 公益財団法人　難病医学研究財団／難病情報センター

注意事項

この記事は、2009年4月1日時点の情報に基づいています。最新の情報については、厚生労働省や関係機関のウェブサイトをご確認ください。

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