雨の朝の少女

雨の朝の少女（あめのあさのしょうじょ）

ジャッキー吉川とブルー・コメッツが1972年8月10日にシングルとしてリリースした楽曲「雨の朝の少女」は、作詞をなかにし礼、作曲を鈴木邦彦、そして編曲を青木望が手掛けた作品です。

楽曲の背景と位置づけ

このシングルは、ブルー・コメッツにとって、当時所属していた日本コロムビアから発表された最後のレコードとなりました。前作のシングル「希望にみちた二人のために」から約半年ぶりに市場に出された本作は、彼らのキャリアにおける重要な転換点に位置する楽曲です。

音楽的特徴

表題曲である「雨の朝の少女」は、シンプルでありながらも心地よい8ビートのリズムを基調として構成されています。当時の歌謡曲とグループ・サウンズの要素が融合したサウンドであり、聴く者に穏やかな印象を与える楽曲と言えるでしょう。

商業的側面とグループへの影響

しかしながら、商業的な面では、この「雨の朝の少女」は先行シングルと同様に、オリコンシングルチャートの100位以内にランクインすることは叶いませんでした。当時のグループ・サウンズ全体の人気の陰りや音楽市場の変化が影響していたと考えられます。本シングルの発表からわずか2ヶ月後の1972年10月、ジャッキー吉川とブルー・コメッツは長年にわたる日本コロムビアとのレコード契約を終了します。これに続き、グループはリーダーであるジャッキー吉川以外の大幅なメンバーチェンジを敢行することとなりました。この出来事は、一般的に「GSとしてのブルー・コメッツ」がその活動形態に事実上の終止符を打ち、新たな体制で再出発を図る契機とされています。したがって、「雨の朝の少女」は、単なる一楽曲としてだけでなく、GS時代を牽引したブルー・コメッツの歴史が大きな節目を迎える直前の、象徴的な作品として位置づけられています。

カップリング曲「哀愁のパリ」

シングルのカップリング曲として収録されたのは、「哀愁のパリ」と題された楽曲です。こちらの楽曲も、「雨の朝の少女」と同じくなかにし礼が作詞、鈴木邦彦が作曲、青木望が編曲を担当しています。この曲は、メンバーの一人である井上忠夫が中心となってボーカルを務めており、マイナーコードを用いたメロディーラインが印象的な、歌謡曲の雰囲気を持ったスローバラードとして仕上げられています。A面のシンプルなサウンドとは異なる、感情豊かな表現が魅力の楽曲です。

後世への展開

オリジナルのシングル盤がリリースされてから数十年を経た2014年6月11日には、この「雨の朝の少女」がミュージックグリッドからMEG-CD（CD-R）形式のシングルとして再発売されました。これにより、再び多くの音楽ファンが、ブルー・コメッツの歴史を語る上で欠かせないこの楽曲とそのカップリング曲に触れる機会を得ています。

まとめ

「雨の朝の少女」は、ジャッキー吉川とブルー・コメッツが日本コロムビア時代に発表した最後のシングルであり、その後のグループの大幅な変革、ひいてはGSとしての活動の終焉を間近に控えた時期にリリースされた楽曲です。商業的な成功には結びつきませんでしたが、ブルー・コメッツの音楽的変遷や、当時の音楽業界の状況を理解する上で、重要な意味を持つ作品として、今なお多くのファンの記憶に残っています。

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