雨森俊彦

雨森俊彦の生涯

雨森俊彦（あめのもり としひこ）は、1876年に生まれ、1927年にその生涯を閉じた日本の陸軍軍医であり、保定軍官学校の教官・医長として活躍しました。彼は尾張藩士の成瀬光太郎の次男で、京都の著名な医家、雨森良意の養子となりました。俊彦は、妻に淡路の藤江氏を持ち、号は良意と名乗りました。

京都時代

俊彦は幼少期を京都で過ごし、成瀬家で教育を受けました。10歳の時に雨森家に養子として迎え入れられ、その後1896年に京都医専を卒業しました。卒業後の彼は、1902年に保定軍官学校の教官として中国大陸に渡ります。この時期に藤江氏と結婚し、良意の名跡を継承したことから、彼の名前は雨森良意となりました。

大陸時代（前期）

大陸に渡った俊彦は、軍官学校で医師としての役割を果たし、校長の馮国璋のもとで教官や医長を務めました。段祺瑞が全省陸軍学堂を統一するまでの間、彼は様々な衛生規定の制定に関与し、中国医学の発展や漢方薬について研究を行いました。この帰結として、彼は医学界に大きな貢献を果たしました。さらに、段祺瑞、馮国璋、田中玉を始めとする中華民国の高官と親しく、在任中の学生には郭松齢、蔣介石といった名もありました。

一時帰国時

俊彦は一時帰国し、雨森家の発祥地である滋賀県長浜市高月町で開業しました。この際に、孫文が日本に亡命した時期と重なり、彼は沖野ヶ原飛行場での中華民国革命軍の訓練に協力したとされます。この期間は、彼が国際的な視野を広げる上で重要な時期となりました。

大陸時代（後期）

再び国に戻った後、彼は大連で開業し、日華両国の親善に寄与しました。特に、安直戦争後は段祺瑞の派閥の高官を大連の私邸に匿ったという記録も残っています。その際、段祺瑞から「仁術」という言葉が刻まれた書を贈られるなど、彼の人脈が影響力を持っていたことがわかります。1927年、俊彦はこの世を去り、享年51歳。彼の功績を讃えて大連市では市葬が行われました。

子息の活躍

俊彦の長男である敏彦は満洲医科大学を卒業し、その後九州帝国大学で博士号を取得しました。彼は南満洲鉄道の病院に勤務し、終戦後は八路軍に留用され、国共内戦に従軍しました。敏彦の子は、元日本赤十字社医療センター副院長として活躍した産婦人科医の雨森良彦です。一方、次男の英彦は壱岐の岩谷家に養子に入り、満州国軍に入隊し、多言語を操る能力を持ちましたが、戦後は八路軍に捕まり、命を落としました。

まとめ

雨森俊彦の生涯は、医学や国際関係における数多くの貢献に満ちています。彼の業績は、今なお多くの人々に影響を与えており、その存在は歴史に刻まれています。

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