馮国璋

馮国璋（ふう こくしょう）

馮国璋（1859年 - 1919年）は、清末から民初にかけての中国で活躍した軍人であり政治家です。字は華甫といい、袁世凱の部下として頭角を現し、後に北洋政府の代理大総統に就任しました。

生涯

馮国璋は北洋武備学堂を卒業後、歩兵学堂の監督官に就任。1903年には錬兵所の軍学司正使に任命され、軍人としてのキャリアを積みました。

1911年に辛亥革命が勃発すると、馮国璋は北洋軍第1軍を率いて武昌蜂起の鎮圧に向かいました。漢口への攻撃では市街地を焼き払う戦術を用いて、11月1日に漢口を、27日には漢陽を陥落させました。しかし、革命派との手打ちを画策していた袁世凱の命により、段祺瑞と交代させられ、第2軍総統官兼禁衛軍司令官に転任となりました。

1913年、袁世凱に対する反乱が南方で発生すると、馮国璋は軍を率いて南京を鎮圧しました。この功績により、彼の軍事的才能は高く評価されることとなります。

1916年に袁世凱が死去すると、馮国璋は中華民国の副総統に選出されます。翌年には、袁世凱の後を継いで大総統となっていた黎元洪と、国務総理の段祺瑞との間で政争（府院の争い）が勃発。この混乱の中、1917年7月の張勲復辟により黎元洪が大総統の座から引きずり降ろされると、馮国璋が代理大総統に選ばれました。

この時期、北洋軍閥は直隷派（馮国璋）、安徽派（段祺瑞）、奉天派（張作霖）に分裂し、激しい政争を繰り広げます。馮国璋は直隷派の首魁として、湖北督軍の王占元や江西督軍の李純と連携し、北洋政府の中心を担っていた安徽派の段祺瑞に対抗しました。

1917年9月、孫文が広東軍政府を組織して事実上中華民国が分裂すると、馮国璋は南征による武力統一を主張する段祺瑞に対し、和平統一を主張しました。しかし、奉天派と連合した段祺瑞が南征を強行。さらに新国会での安徽派の多数派工作により、1918年には馮国璋政権は瓦解しました。失脚後、馮国璋は失意の中、1919年12月28日に北京で病死しました。

親族

馮国璋の子孫には、著名な人物がいます。

息子（第三子）：馮家遇（ふう かぐう）は天津の発展に貢献したとされています。
曽孫：馮鞏（ふう きょう）は相声（中国の伝統的な話芸）の芸人として知られています。

まとめ

馮国璋は、清末から民初という激動の時代において、軍人、政治家として重要な役割を果たしました。袁世凱の側近として台頭し、北洋軍閥の一翼を担い、その後の中国の政治情勢に大きな影響を与えました。彼の生涯は、動乱期の中国の歴史を理解する上で欠かせない要素となっています。

参考資料

劉寿林ほか編『民国職官年表』中華書局、1995年。
杉山祐之『覇王と革命 中国軍閥史一九一五‐二八』白水社、2012年。ISBN 978-4-560-08256-0。

外部リンク

『馮国璋』 - コトバンク
『馮国璋（ふうこくしょう）』 - コトバンク
* 『馮 国璋』 - コトバンク

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