雨量計

雨量計の概要

雨量計（うりょうけい）は、降雨の量を計測するための専門器具です。日本では、直径20cmの漏斗型受水器が一般的に用いられています。この受水器が集めた雨水の量を元にして、降水量が算出されます。特に寒冷地では、雪や霰を測定するために加熱機能が付加されたモデルが使用されています。

構造と機能

雨量計の受水器には、雨水を効率よく集めるための工夫が施されています。受水器の周囲には、風による雨滴の流失を防ぐ防風柵が付くこともあります。このような工夫により、正確な測定が可能になります。また、日本の気象観測の基準として、検定を通過した器具のみが利用されています。これには、貯水型雨量計と転倒ます型雨量計の2種類があります。

貯水型雨量計

貯水型雨量計は、受水器で集めた降水を雨量ますと呼ばれる目盛のついた容器に貯めて観測します。そのタイプには、手動で観測する指示雨量計と、自動的に記録する自記雨量計があります。指示雨量計は簡易でボランティア観測が行いやすいですが、観測の際に雨量ますの容量制限があります。対して、自記雨量計は自動排水機能で長時間の観測が可能です。

許容される誤差は、指示雨量計では降雨量10mm以下で0.2mm、10mm超で2％となっています。

転倒ます型雨量計

転倒ます型雨量計は、シーソーのような構造により降水量を測定します。一方の容器に降水が貯まり、一定量になるとシーソーが倒れ、もう一方に移動します。この動作が繰り返され、転倒回数を元に雨量が計算されます。この方式では、特に公的機関での利用が進められています。

レーダーによる観測

降水をレーダーで観測すると、降水の広がりや強度が把握できますが、実測値に基づく補正が必要です。気象業務では、レーダーのデータと地上の雨量計からの数値が併用され、信頼性の高い情報が提供されています。

歴史

雨量計の起源は古代にさかのぼります。古代インドの文献には、紀元前4世紀に雨量計が記載されています。中国や朝鮮、ヨーロッパでもそれぞれ独自の発展を遂げてきました。特に李氏朝鮮は、全国に観測網を築き上げたことで知られています。

イギリスにおいても、雨量計の改良が行われ、1680年以降には風の影響を調べた実験が行われました。これにより、雨量計の設置や観測技術が進化し、現在に至っています。

まとめ

雨量計は、精度が求められる気象観測において不可欠な存在です。その技術や設計は長い歴史の中で進化を遂げ、今や自動化やデータの遠隔モニタリングも可能となっています。適切な設置と観測方法を用いて、精確な降水量の情報を確保することが求められています。

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