霰

霰（あられ）についての詳細

霰は空から降ってくる直径5ミリメートル未満の氷の粒で、大きく分けると「雪霰」と「氷霰」の二種類があります。これらの霰は性質が異なり、降る環境によっても変化します。

雪霰（雪あられ）

雪霰は、直径が2mmから5mmほどの大きさで、主に白色で不透明です。形状は球形や半円錐形で、地面に落ちると弾んだり割れたりすることがあります。雪霰は、氷の結晶が中心にあり、その周りを微細な氷粒子が覆っている構造を持っています。この氷粒子は急速に凍り固まり、通常は結晶構造を持たないため、成長の過程によって氷晶が見えることもあります。また、雪霰は空気を多く含んでいるため、比重が約0.8と軽く、地表の温度が0℃前後の際に降ることが多いです。

氷霰（氷あられ）

氷霰は、半透明で球形または時には尖った半円錐状の形をしており、直径は5mm程度からそれ以上になることもあります。氷霰が地面に落ちる際には音を立てて弾む特徴があります。雪霰に比べて、氷霰の表面は滑らかで、より密度が高いため、踏んでも簡単には潰れません。氷霰は、雪霰が雹に成長する過程にある氷の粒と考えることができます。強い上昇気流のある積乱雲の中で、過冷却水滴と衝突して氷結し、部分的に溶けまた凍るといった変化を経て大きくなります。氷霰は常に驟雨性の降水で、特に積乱雲からの降水がよく見られます。

観測と記録

天気予報においては、雪霰は雪と一緒に扱われ、氷霰は雨として分類されがちですが、実際の観測では霰として記録されます。気象庁では、管区気象台などで目視観測が行われており、霰の他にも雹や凍雨などの現象も区別して記録しています。自動気象観測装置では、霰を含む固形降水の深さを測定する際、雪や雨の判別は行われていませんが、霰の観測が曖昧なこともあります。

国際的な気象通報式では、霰について、降水の降っているかどうかや雨・雪の有無、雷の有無、さらには降水の強度についての情報を示して報告します。また、日本の天気図では、霰が降っている場合は「霰」として記録されます。

霰の結晶構造

霰は、その結晶の表面に霧状に凍った粒子が付着していることが多く、観察が難しいこともあります。しかし、低温用の走査電子顕微鏡（SEM）を使用すれば、霰の結晶構造を詳細に観測することが可能です。霰は、雪の結晶形状の種類が多様であるため、個々の規則正しい形を持つわけではなく、角板、樹枝状、角柱、針といった形状が混在しています。

用語と文化的な側面

現在、霰はその大きさによって雹と区別されています。一般的には、霰は「凍雨」をも含む広い意味での総称としても使われます。また、霰に関連する詩や歌が存在し、古くからの文学にも登場しています。『万葉集』に見られる句や、霰を表現する枕詞などはその一例です。

このように、霰は気象現象の一つとして、多くの特徴と文化的な背景を持つ興味深い存在です。

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