雪の森のリサベット

『雪の森のリサベット』は、アストリッド・リンドグレーンが1983年に発表した児童書です。原題は「Titta Madicken, det snöar!」（みて、マディケン、雪がふってる!）で、雪の降る六月が丘を舞台に、マディケンとリサベットの姉妹の日常を描いています。

物語は、雪が降り積もった六月が丘で、マディケンとリサベットが雪遊びを楽しむ場面から始まります。しかし翌日、マディケンが病気になってしまい、リサベットはアルバと一緒にクリスマスの買い物に出かけることになります。買い物中、突然リサベットはそりに乗って森の中へと姿を消してしまいます。この予期せぬ出来事が、物語にスリリングな展開をもたらします。

この作品は、子供たちの無邪気さや冒険心を描き出す一方で、親子の愛情や友情の大切さも伝えています。リンドグレーンならではの温かい視点とユーモアが、読者を物語の世界へと引き込みます。

また、本書は過去に、ある箇所が原因で物議を醸したこともあります。1999年、登場人物が飲酒を美化する歌を歌っている場面に対し、保護者から異議申し立てがあり、コネチカット州エンフィールドの小学校図書館から一時的に撤去されました。しかしその後、再評価され、図書館に戻されています。アメリカ図書館協会のウェブサイトでは、『雪の森のリサベット』（英題: The Runaway Sleigh Ride）が、米国で頻繁に異議申し立てがなされる本の一つとしてリストアップされています。この事実は、本書が社会に与える影響の大きさを物語っています。

日本語訳版は、1986年にイロン・ヴィークランドの絵とともに『マディケンとリサベット』として篠崎書林から出版されました（いしいとしこ訳）。その後、2003年には徳間書店から『雪の森のリサベット』として再出版されています（石井登志子訳）。

『雪の森のリサベット』は、リンドグレーンの代表作の一つとして、世界中の子供たちに愛されています。雪景色の中で繰り広げられる、マディケンとリサベットの心温まる物語は、読者に忘れられない感動を与えてくれるでしょう。

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